【イベントレポート】先生のための「夏休み経済教室」in東京2018(高校対象)2日目

セミナー・イベント

先日、東京証券取引所で開催された先生のための「夏休み経済教室」in東京2018の二日目に行ってまいりました。(詳細については、東証のサイトの当該ページをご確認ください。)

1日目に引き続き、多くの高校教員の方が参加しており、熱心に勉強できる環境が整っていました。1日目の様子については、こちらのレポートをご参照ください。

https://wp.me/p9T4ho-7U

2日目は大学の先生の講演による歴史シリーズ(=経済と歴史の横断的研究)や公民科の先生にとって注目のもとの新しい「公共」科目についてのお話が中心でした。

少しずつですが、日本の教育が変化していってることを実感するイベントでした。

備忘録を含めた概要をご参考にしていただければ幸いです。

新テスト問題を視点に授業改善を考える

教科「現代社会」で学べることを知ることができました

まず、1時間目は、現在の現代社会のテスト問題から、生徒の得点率などを参考にどのような教育が有効かというお話でした。

残念ながら、テスト問題は著作権などに触れるのでご紹介できないのですが、実際、「現代社会」という教科を受けてこなかった人間(こういう人多いと思います)にとって、こんな問題が出るんだ〜と感心してしまうところも。

実際、現代社会の問題は、授業で習う内容を知らなくても「問題文を読み解く力があれば解ける」とよく言われたりもして、大きな問題として今回も取り上げられていました。

推測で解ける問題では困るというか、論理的な思考を試すような問題が理想ということでしたね。グラフの読み取りなど統計問題がうまく機能するように、問題の試行錯誤が必要とのことでした。

高校新学習指導要領を読み解く

「公共」科目の概要を知る(経済の教養っぽい!?)

そして、2時間目は注目の?新科目「公共」について。

東洋大学教育学部の栗原先生がお話してくださったのですが、いわゆる「公共」で学ぶべき内容の中に、今叫ばれている金融教育が入っている模様です。

これまで、公民科は「倫理」「政治・経済」「現代社会」の3本柱で行われてきていたのですが、新たに「公共」が設置されます。

出典:幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の
  学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申別紙)(17ページより)

いままで各教科が横並びの状態だったのですが、新たに公民としては必須科目の「公共」を設置し、その学習の上に「倫理」「政治・経済」を学習するという流れになるわけですね。

もちろん、「現代社会の諸課題に向けて自立する」というのが目標でもあり、主権者教育とか環境問題への意識といったことも学習内容に入ってくるので、金融教育だけに特化しているわけではないのですが、それでも大きな比率を占めてくることが予想されます。

さて、その前提の上に何を学習させるのか?というのが本題でした。

そこで囚人のジレンマの変形版でグーパーじゃんけんが事例にあがりました。

<事例>

1.AさんとBさんがいます。

2.二人でグーかパーを出すじゃんけんをします。

・両方グーの場合・・・それぞれに300円が支払われます。

・両方パーの場合・・・それぞれに100円が支払われます。

・片方がグーで片方がパーの場合・・・パーを出した(勝った)方に500円、グーを出した(負けた)方は1円ももらえません。

3.この条件下でグーパーじゃんけんを10回行います。

お題を出された先生から、ひたすら「大人気なく」やりましょうと言われます(笑)。

(正直、先生の言葉につられてしまうと損を被るのですけどね・・・)

このような状況の場合、

  • グーを出す行為=AさんとBさんの協力行為
  • パーを出す行為=AさんとBさんいずれかの裏切り行為

となり、たいていの人は、裏切り行為を必ずしてしまうってことで、最大得られるAさん・Bさんそれぞれ3000円の利益をみすみす逃すというのをゲームを通じて体感。

このあたり、生徒とやっても楽しいかもしれないですね。

ちょっぴりブラックな私見を入れておくと、すべて情報が公開されている状態なので、相手の動き関係なく、個人的にはグーを出し続けるかなぁって思いました。

だって、グーパーじゃんけんというわずかな時間と手間に対して、最大二人で6000円の利益を得られるチャンスなわけですからね。

時にパーを出したい衝動が出ますが、1回500円のために「裏切り行為をする」方がよっぽどリスクが高いですし。

たとえ一人勝ちしても最大でもらえる利益はトータルで5000円だから二人合わせて6000円にかなわないですし。

しかも、相手がパーをどの程度出すかによって、その人が信頼に足る人なのか(だって最大利益は二人でずっと協力して6000円ってわかっているから。)、人に流されやすい人なのか、自分の利益だけを考えている人なのかいろんなことがほぼノーリスクで分かる機会なのだから、「裏切り行為」をしないのが一番良い選択のように思われました。

もちろん、囚人のジレンマはもっと複雑で、情報開示もされておらず、「協力行為」を取りづらい状況が設定されているわけですけどね。

とにかく、そうした実践的なことを行えて楽しかったですね、講義中心なのでこうしたワーク形式は一服の清涼剤でした。

生徒にやらせてみたら、若年層の発想や自己中心度合いなんかも分かるかも?とも考えちゃいました。(→でも、こんなゲームで自分の信用を落としちゃいけないよと私は教えたい(笑))

何はともかく、「公共」という科目が、一部経済学の入門編といった立ち位置になってくるようです。大変興味深い視点をもらいました。

明治維新を経済から読む

政治×経済×歴史で多角的に明治時代を知れました

3時間目は温故知新ということで、明治維新における日本の近代化の流れを学びました。明治維新については、経済教室1日目にも触れられており、たった数年で完了しています。日本の近代化のスピーディーさというのは、現在の日本も見習うべきところなのかもしれません。

先生のご紹介でやはり岩倉具視使節団のすごさというのは感じましたね。

すでに江戸時代から、近代化のために造船技術や法律の勉強などはしていたけれど、新政府になったからこそスピーディーに(まぁ中国分割などのようなヨーロッパ列強の侵入を防がなければならないという危機的な状況も手伝って)物事が進んだという背景も、現代社会において参考になる部分でした。

もちろん、新しい制度や改革のために外国人に法外な給金を出したりとお金もかかったわけですが、そこは武士などに支払っていた俸禄を充てたりと工夫していたのも興味深かったです。(今の日本では難しそうですけどねぇ。)

日本史とは縁遠かったので、さまざまな歴史背景の小ネタを知ることができてそのあたりも楽しかったです。歴史から学ぶ姿勢の重要性を感じました。

金融における技術変革とこれからの金融教育

仮想通貨に関する知見を得られました

大学生が投資といえば、仮想通貨に傾くことが多く、かなり大学でも問題視されているところです。

もちろん、投資は自己責任なわけですが、スマホで仮想通貨取引をしている学生が増えるにつれ、大学(特に面倒見の良いところ)の責任という雰囲気もありますね。

親元を離れて生活している人もいるわけで、マルチ商法に引っかかったりといったことも注意喚起するぐらいしかできず、その意味では金融教育の重要性は言わずもがなでしょう。

というわけで、仮想通貨など触れたことのない先生方が圧倒的に多い中、先生方の関心は大変高く、ブロックチェーンの仕組みなどについてご講義を受けました。

仮想通貨の発展以外にも、貨幣の歴史やモバイル決済についても触れられていました。

やはり、日本は現金大国なわけですが、同時に電子マネー大国でもあり、中国のモバイル決済ぶりなどとの比較は今の貨幣流通を考える上で、既存の制度がネックでもあるなと思いましたね。(クレジットカードの普及もその一つですね、すごいことなんですけどね。)

最後の日本銀行券の電子化について触れておられましたが、本当に実現してくれないかしら?とは思いました。まだ少し現実的ではないかもしれないですけどね。

日本の教育も少しずつ変わっているかも?

ゆるやかにつながれるグループ?に期待

とりあえず、いろいろ叩かれている日本の教育ですが、教員の先生方は本当に真剣に学んでおられました。このご時世、新しい知識や実践の重要性を理解している方が多かったように思います。

もちろん、こうした動きはごく一部だし、大きく教育が変わるには1億2600万人という規模になってしまった日本という国では難しくなっているのかもしれません。

でも、着実にいろんな試みは行われているし、1つの学校だけではないゆるやかに繋がれる研究グループなども出てきていて、こうしたイベントが増えるといいなと感じられました。

もう少し、がちがちな講義ではなくて、先生方の意見交換会があったりするといいかなと思うので、そこは東証さんにもお願いしたいところかな?と思った次第です。

自身の投資や授業実践に活かせるようにより理解を深めたいなと思ったりも。

ご興味ある先生方がいらっしゃったら、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

教員を志す学生さんでも参加できるし、茅場町界隈の雰囲気も社会勉強になるかと思います。

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