【書評】『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』から学ぶ世界事情

さて、令和がスタートしておりますが、平常運転のSayasayanです。

結局、読書というインプットをして、ブログを書くというアウトプットをする

これは今後も変わらず続けていくのだろうなぁと思っております。

そんな中で、さっそく読んで勉強になったな〜と思いましたので、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作、関美和訳『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の書評を少々。

こちらの記事に、世界を大局的に見ることの重要性などについては書かれています。

日経クロストレンド

『統計学は最強の学問である』の著者で、データ分析ツールのデータビークル(東京・港)代表取締役CPO(最高製品責任者)の西…

統計的な素養を養う初級編としてちょうど良い書籍でしょうか、人によってはさして新しくないという人もいるかもしれませんが、少しずつだけれど確実によくなってきている世の中を知ることは職業柄重要なことなので、大変勉強になりました。

同時にまだまだ改善されるべきところもあるってことも知ってより正確に世界を把握することが重要ということがよくわかりました。

ぜひ、読んでいただきたいので重要な要素や所々情報として出ているサイトのご紹介、拙い私の感想と私見を記しておきます。

マクロな視点とミクロな視点が入っていて読みやすい

気づきを与えてくれる巧妙な仕掛け

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』は、医者としても活躍したハンス・ロスリング氏の遺作と呼べる書籍です。

TEDトークなどにも度々登場しており、講演活動も積極的にされたそうです。

そしてこの本の副題は「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」です。

書籍の冒頭に現在の世界を知るための世界の事実に関する13のデータに関する質問があるのですが、こちらはギャップマインダー(Gapminder)財団のHPでも受けることができます。

何も知らずに受けた私の結果は62%ということで、チンパンジーほどではなかったですが、意外と誤解していることが多く不勉強さを痛感しました。(お恥ずかしい限りです・・・)

著者の主張は、ヨーロッパなどの先進諸国での未だはびこっている誤解があるということ、新興国をはじめ開発途上国の状況はよくなっているということ、これはデータからもしっかり分かるということでした。

特に注目すべきは、乳幼児の死亡率などは下がり続けていて2016年段階で4%までに低下しているということ。

こうなってくると、やはり世界規模で少子化は進んでいくもので喜ばしい部分は大きいことが分かります。

戦争でも自然災害でもなくなる人はどんどん減っているし、識字率や電気や水道の整備も進んでいて、全世界の80%ほどの人々が程度の差こそあれ電気も綺麗な水にアクセスできるようになっているので、最貧困層は劇的に減っていることは認識しておいて損はないことかな、と。

とはいえ、10億人ほどの最貧困層がいるのも事実であり、そうした意味では継続的な支援が必要なところもあるのも事実。

大局をつかんであらゆる角度から事実を理解する、データを歪曲して理解しないことって当たり前のことですけれど難しいんですよね。

その誤解してしまう部分っていうのは、著者の個別事例を織り交ぜて説明することで腑に落ちる内容になっているところがこの書籍の良さかなと思いました。

一見難しそうにみえる書籍ですが、とっつきやすく読みやすくなっているのが魅力です。

データも豊富で見やすい

アンケート結果も興味深いです

そして、書籍の読みやすさは所々にデータやアンケート結果が盛り込まれているからでもあります。

結構さまざまな場面で見られるようになりましたが、視覚的にわかりやすいバブルチャートが盛り込まれているので楽しい雰囲気みたいなものもありますね。

例えば、こうした収入と世界の平均寿命との関係性についでのバブルチャートがあり、大きな赤い丸が、下がインド、上が中国などですね。

書籍だと静止したチャートなのでわかりにくいですが、ギャップマインダーHPでは、実際に動くバブルチャートを確認することができます。

世界の流れを人口や収入などの観点から見ることができて、時系列としても追えるのでかなり視覚的に直感的に理解できるようになっていますね。

さまざまな世界ランキングも見られますし、実際にハンス・ローリング氏がTEDtalksで使っているので、使い方の勉強にもなります(笑)

ドル・ストリートなどはかなり使えそう

授業教材にも使えそう・・・(笑)

ひとまず、書籍は11章に分かれており、それぞれの章で人々の思い込みを払拭するような話が展開しています。

主な目次は以下の通りです。

第1章:分断本能ー「世界は分断されている」という思い込み

第2章:ネガティブ本能ー「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

第3章:直線本能ー「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

第4章:恐怖本能ー危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み

第5章:過大視本能ー「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み

第6章:パターン化本能ー「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

第7章:宿命本能ー「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み

第8章:単純化本能ー「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み

第9章:犯人捜し本能ー「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み

第10章:焦り本能ー「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

第11章:ファクトフルネスを実践しよう

各章の巻末には、気をつけるべきポイントがきちんとまとまっていますし、思い込みをしないための対策も書かれています。

とにかく、データの重要性がよく分かりますし、思考停止になって考えを放棄することはよくない結果をうむことが認識できたことは貴重でした。

そして、経済成長という意味では、これから最貧困層はほとんどいなくなり(書籍の中では経済レベルをレベル1からレベル4に分類し、レベル4が豊かな生活を送れる基準と設定)レベル2・レベル3の人たちが欲しがるものにフォーカスする重要性が語られていますね。

海外進出に対して好意的に見ている私ですが、これからはその海外にどう打って出ているかも重要だなと。

日本の企業は技術力の高さがいずれの分野も突出している印象なので、なんとなく、いろんなことに満足した層に訴求する傾向が強い傾向がある気がするんですよね。

それってかなりのレッドオーシャンなので、果たしてそこに時間や資金や人材をかけるべきなのか?を真剣に検討しないといけない段階にきているのかな、と。

Think Globally, Act Locally.的な発想なのでしょうが、その足元をどこに置くかなど考えなければいけませんね。

何より、人口は無尽蔵に増えるわけでもないのですが、日本がまだどこの国も経験していない少子高齢化に突入していくのは変わりない(マクロ的な視点からいえば大きな問題でなかったとしても)ので、そうしたことは不可避のこととしてとらえるべきかもしれません。

最後に、書籍の中でも紹介されているドル・ストリートについて(日本語は残念ながらありませんが操作はそんなに難しくないです)。

世界のさまざまな家族や生活の様子を収入ベースで見られる便利なサイトです。

著者も収入ベースであれこれ比較することのメリット・デメリットをあげていますが、この世の中をよりよくしていくためには必要な側面もあることを話しています。

収入ベースが近いと、国が違っても生活が似てくるといったことが実際の写真で比較できるので面白いです。

これは教材に使えそうだな〜といろんな指標を入れてしまいました(笑)

例えば、インド好きなので、インドばかりで申し訳ないのですが、インドのおうちのベッドの様子も収入によって大きく異なります。

<レベル1の家のベッド(最低限の生活を維持するのも難しい状況)>

<レベル2の家のベッド(最低限の生活は確保できる状況)>

<レベル3の家のベッド(インフラもほぼ整備され教育も受けられるレベル)>

<レベル4の家のベッド(裕福な消費者として旅行などにも出かけるレベル)>

こうして見ると、変化を楽しめますし、リアルな生活を想像できますね。

そして大事なこととして、必ずしもお金持ちの家族が幸せかどうかはデータからは分からないことも忘れないでおきたいところですね(笑)

まぁ、今はネットも普及し人々が豊かさを享受していることがわかってしまうようになっていますから、世界中の人々の欲望は刺激されているのですが・・・。

リアルな生活についても見識を深める必要があることを改めて教えてくれます。

ちょっと分厚い本ですが、読みやすい本ですし、ネットでさまざまな情報にアクセスできるのでぜひギャップマインダー財団のサイトをのぞいてみては。

教育用の動画もあり、無料で提供されていますし、ものすごくゆっくりはっきりした英語なので援護の勉強になるかも〜って思ったりもしました(笑)

厳しい書評を書く人もいますが、何事からも学ぶ姿勢でいれば、興味深い観点が豊富な内容になっていると思います。

GWのお供にも良いかもしれません。

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