ほそぼそとはいえ、現役世代ですので毎日毎日株主総会に行くわけにはいかないのですが、土曜日開催であれば行ける!ということで、株式会社ファンケルの株主総会に行ってまいりました。
懇親会という名の株主限定の販売会もあるので、開場は11時からだったのですが、雷雨ということもあって間に合わず、総会終了後にちょこっとだけ懇親会場をうかがわせていただきました。
(いつも挙動不審になりがちな私にとって、空いている懇親会場はゆっくりお話聞けてとても良かったです。)
海外展開も積極的で、アットホームな雰囲気の株主総会の模様をレポートとしてまとめておきます。
ファンケル株主総会概要
横浜アリーナで大々的に
(出典:横浜アリーナ公式HP)
第39期株式ファンケル定時株主総会
開催日時:2019年6月22日(土曜日)午後1時(受付開始:午前11時)
開催場所:横浜アリーナ
開催場所は去年と同じで、新横浜駅から適所にスタッフさんがいて株主総会会場まで誘導といった形になっておりました。
新横浜駅から少し歩きますが、迷わず行けるようにはなっていました。
あいにくの天気でしたが、人数はかなり多かったイメージです。
同伴者も多い印象でしたし、ご夫婦やご友人でいらっしゃっていたりと素敵なカップルをたくさん見かけました。
会場にはたくさんのスタッフさんがいらして、休日出勤?とは思いますが、会場案内などもしっかりしてくださっていたのでよかったです。
事業内容や今後の課題について
新しい戦略がどんどん出ていました
さて、重役の方々が一列に揃っている株主総会、監査役の方も揃っており、報告からスタート。
売上高が1202億と国内が堅調&インバウンドが寄与ということで雰囲気は穏やかな感じでした。
総利益も86億円と頑張ってくれている模様。
化粧品事業が全体の売り上げでいうと58%をあげており、次いで健康食品事業が35%程度と牽引していました。
化粧品事業はスキンケアラインをリニューアルし、30代向けのモイストリファインと40代向けのエンリッチと差別化が功を奏している模様でした。
ホワイトニングラインも今年の3月にリニューアルしており、60代向けのビューティーブーケのエイジングクリームなどもヒットしているそうです。
高級路線の主力ラインであるアテニアも2019年1月にリニューアルしており、とにかくリニューアルラッシュ(笑)
2018年11月からの越境ECの好調さとともに、今年はグローバル元年ということで、アメリカへの再挑戦などについても触れられていました。
健康食品事業は、健康サポートや内脂サポートといった40代〜50代の男性ユーザーを増やすことに成功。
老眼向けのえんきん商品はぼやけ機能向上をプラスして前年比22.2%増と好調であることがうかがえました。
中国への商品アピールとしては、上海の中国国際博覧会に参加していたりとのことです。
あとは、自社サイトファンケルオンラインでパーソナライズ機能を強化したり、店舗のビジュアルアップやイベントの開催で都市部の好立地(モールなど)に出店を加速。
ドラッグストアでは最上段の確保に尽力しているとのこと。
さまざまな賞を受賞したり、新しい雇用区分を採用したり、株主優待で寄付選択の分を赤十字社に寄付したことなどの報告がありました。
そして、ファンケルさんの良いところとしては、課題部分についてしっかり考えている対策を教えてくれるところ。
今は創業50周年になる2030年に向けて、世界で信頼される企業作りをしているとのこと。
VISON2030という理念に向けて、現在は中期経営計画3カ年でしっかりブランドを構築していくとのことでした。
主には、今の主力であるThe FANCLのほか、プレミアムブランドとして、FANCL Prestige、手軽に使ってもらうためのNeo FANCLの創設を目指しているそうです。
海外戦略としては、SNSやイベントを積極的に展開、北米向けにはAmazonに出店もしていて強調されていましたね。
とはいえ、最重要市場としては、健康事業含め海外は中国とのこと。中国専用サプリメントの販売も2020年を目処に考えているそうです。
(出典:天猫国際(Tmall))
栄養補助食品としては、サプリメントも好調で、現在はネットで問診して最適なサプリメントを個々人に提供するパーソナルサプリメント診断が人気とのこと。
カロリミットの通販などでは定期購入サービスを強化したり、店舗もFANCL New meと呼ばれる体験型店舗を増やしたりされていて、いろいろ新しいことをしているのだなぁと感心しました。
株主からの質疑応答
2時間ほどの長丁場でした
Q1. 連結損益計算書の支払い補償費とは具体的に何か?
A. 横浜関内にある、ファンケル本社に入っているテナントが契約途中で退去したため。(ファンケル側がオフィスを拡張したかった事由による)
Q2. 米中貿易摩擦は問題になっているが中国市場をどうとらえているのか?
A. 経済成長をしており、潜在的ニーズは大きいとみている。すでに2.4兆円という健康食品市場があり、これは今後さらに大きくなると予想している。現地企業とパートナーシップを結んで、市場拡大に向けすでに動いている。
Q3. 御社の不祥事対応についてお伺いしたい。
A. コンプライアンスを遵守し、問題にはきちんと対応して「安心・安全」の信用が失われないように配慮している。
Q4. 去年質問できなかったので、質問を最後まで受け付ける気がないならお土産を廃止するか、すべての質問を受けるかどちらかにしてほしい。昨年の総会では感動的な池森会長のスピーチで終わったがあれはサクラではないか?
A. お土産を廃止する予定はない。集中日を避けるため土曜日開催にしており、総会土産は株主にも消費者になってもらいたくて実施している。質問も可能な限り受ける。特にサクラなどは存在せず、社員一同総会は株主との貴重な対話の場として親しみをもって接している。
Q5. 海外売上と国内売上の比率と今後の展望について
A. 昨年で海外売上は8.5%だが、インバウンド(主に中国)で12%なので、20%強は実質海外になっている。2030年には25%まであげたい。まずは2020年までにアジア市場展開を確固たるものにし、アメリカに再チャレンジ。中期三カ年で中国市場拡大を目指している。
Q6. プラスチック対策はどうしているのか?
A.ボトルなどをサトウキビ由来の植物性のものに変えている。また、CSR活動の一環として横浜港のプラスチック回収を月に1度実施している。
Q7. 為替リスクについて教えてほしい。
A. 中国などを中心としてアジア圏は円建て取引になっている。ボウシャの売上は円建てへの転換があるが、全体的にみれば軽微である。
Q8. 売りたいターゲットが60代までに見えるが「70代」も入れてみるのはどうか。
A. シニア世代への遡及もしっかりしていきたい。人生100年時代に向けて、4つの観点から商品を考えている。フレイル(体の弱っている状態)をどうするか、食生活の変化への対応、生活習慣病対策、女性の社会進出(時短で美を追求or高齢出産に安心をもてるような商品作り)、これらの観点から商品を提供していきたい。
Q9. 店舗は増えているが人材不足は大丈夫か?
A. 契約社員をすべて正社員にするなどの努力が実り、退職率は前年比5.4%減少している。転勤のないエリア社員やアソシエイト社員など時短勤務社員でうまくまわっている。
Q10. 海外展開にインドは考えていないのか?
A. 2030年までの計画にはインドやASEAN5と呼ばれる国への展開が含まれている。
Q11. 売上高目標1400億円の内訳を教えてほしい。
A. 現在化粧品が58%であるが、健康食品事業を伸ばしていきたいと考えている。
Q12. 総会が新横浜なのは遠いのですが・・・
A. 横浜が本社であり、首都圏ということで新横浜は利便性も高いと考える。十分来やすいところだと認識している。
Q13. 銀座スクエアの飲食店フロアは休止しているがどうなっているのか?
A. レストランが退去して、現在新しいお店のオープンに向けて動いているところである。
Q14. 化粧品×健康ということで、身体機能をあげるといった製品開発はできないか?
A. 若返りの研究は世界中で行われており、サプリメント開発ができればと考えている。
Q15. 決議の際に来た株主の拍手で決めるのはどうなのでしょう?
A. 来てもらった株主様に賛成の意を確認する機会であると認識している。
Q16. 取締役を減らすのはどういう意図があってのことか?
A. 実行力を高めるためである。
Q17. 内部統制について
A. 2006年より委員会が設置されており、財務やデータについて会社の不正など厳しくチェックしている。
Q18. 化粧品事業など懇親会で株主にどこを見てほしいと思っているのか?
A. FANCAL=マイブランドと思ってもらえるよう取り組んでいる。新商品の60代向けビューティーブーケ、アラサー世代向けAND MIRAIのジェルクリームなど新たな商品は特に見ていただきたい。CSR活動などにも積極的に取り組んでいる様子を見ていただきたい。
Q19. 池森会長からメッセージを。
A. 私が出戻った時には社員のモチベーションが下がっていた。ファンケル大学を作り、一から教育をした。広告費用を削れば売り上げが下がるので、とにかく広告を出して効果を出すと啖呵を切ったこともあった。今はしっかり社員たちがお客様と向き合っており、安心している。
Q20. 株主優待の長期保有はないのか?
A. 長期制度も考えていきたいと思う。
Q21. 社債の使い道について、100億で自社所有の工場に利用しているようだが、他社を使う方法は考えていたのか?
A.千葉工場にマイルドクレンジングオイル専用工場を作るが、無添加化粧品ということもあり、自己所有では必然的な側面がある。
Q22. 新任の取締役の中に女性が一人も選べていないが?
A. 取締役は実効力を高めるために9人に絞る。従業員の69%が女性で管理職比率も高い。取締役候補の執行役員には5人女性がいる。これから女性の取締役が出てくることを期待している。
Q23. パーソナルカラー診断を取り入れた化粧品は作らないのか?
A.明確に打ち出していないが、40代以降にくすんでくる肌が明るく見えるように紫をベースにいれたパウダーなど販売している。パーソナルカラーについては店頭や電話相談でも応じている。
かなり長丁場でしたが、質問にはしっかり答えていただいた印象です。
質問は全員が無理・・・というか、2時間超えもまぁまぁ辛い・・・ので、例えば招集通知に「2時間程度を予定しております」って書いてくれたらいいのにって思いました。
会場は、まぁアリーナですので仕方ないかな〜というのと、「新横浜」だし、横浜アリーナだから地味に距離を感じるといった感じでしょうかね。
しかし、懇親会場の確保のことも考えると、妥当な気がします。
質疑応答部分含め、私の私見込みで書いておりますので、後半特にダレていますが、どうぞご容赦のほどを。
島田社長がことあるごとにフォローされていて、お人柄が推察されました(笑)
総会後の懇親会場あれこれ
社員さんとお話できて楽しかったです
さて、今回は総会前ではなく、総会後に懇親開場の方を回ってきました。
写真OKだったのかな?判然としなかったので撮らずに帰ってきてしまいましたが、う〜ん、ごめんなさい。
販売会の方は大盛況みたいでしたが、それ以外にも興味深い展示やお試し商品などあって楽しかったです。
まずは、知らなかった新しいスキンケアラインのAND MIRAIのブースへ。
(出典:PRTIMES)
中国で大人気で、直営店でも購入できるものだそうです。
ボトルのデザインも可愛いですし、アロマの香りがついているので、無添加で無香料がつまらないと感じる女性向けに良いかなって思いました。
サクラのエッセンスが入っていて、ブルーライトから肌を守ってくれる機能があるとのこと。
マツキヨでも取り扱うとのことで、販路も広く売れそうな雰囲気出てました。
メイクアップコーナーでは、リニューアルされるリップのお試しができました。
社員さんが1種類好みのものをつけてくれると言ってくれたのですが、迷っていたら2種類重ね付けしてくれたりと嬉しいことも。
普段は企画をされている方だそうですが、総会のときはいろんな社員さんがいらしているようで、その点でも刺激的でした。
無添加化粧品を使うなら、スキンケアだけでなくメイクアップ用品も無添加のものが良いそうです。
美容情報も教えてもらえるのは良いですね。
その後、最後の研究発表セミナーを10分ほど聞いてきました。
フェリチンと呼ばれる体に蓄えている鉄の量を測ることができるキットの開発についてでした。
顧客の栄養が足りているかどうかを検体(唾液とかで良いそうです)から調べられるので、検査も「手軽・痛くない・怖くない」が実現しているそうですよ。
研究発表はとても楽しく聞かせていただいたのですが、ちょっとした寸劇が入っており、そこはいらなかったかな?みたいな。
栄養が足りてないかも?って思っている人が、意外と栄養が足りていることがあり、逆に栄養に気をつけている人の方が栄養が足りないといったことがあるという話でしたので、寸劇でやるほどの内容ではなかったかと。
それよりデータ見せてもらったりとかの方が研究ちゃんとやってる感あってよかったです。まぁ、個人的な意見でございますがね・・・。
そして、海外展開の方が気になるので、台湾や中国、香港などのアジア展開商品のブースとボウシャという欧米向け(こちらは中近東もこの商品)商品のブースへ。
こちらはさらに人が少なくて個人的に快適スペースでございました(笑)
基本アジア向けには、ファンケル商品を展開しているとのこと。
成分的に少し違いはあるけれど、ほぼ同じだそうです。
パッケージが中国向けだとサイエンス風なのですが、高級感や効果がすぐに出そうな雰囲気を好むそうで、化学式などが書いてあるパッケージ、とてもおしゃれでした。
また、シートマスクがすごく売れているとのこと。
北の北京と南の上海では、北が乾燥に悩むのに対し、南は雨でベトベトに悩むそうで、この差は大きいと痛感しているとのことでした。
これから各地域の特性に合わせた商品開発も検討段階に入っているとのこと、楽しみです。
ファンケルの小さなボトル(1週間使い切り化粧水など)も、中国を中心としてフレッシュなものが使えると好調なようです。
他の地域だと大きなボトルが好まれるとのことで、海外との差を感じました。
そして、中国に関しては、とにかく越境ECサイトを使った通販事業は好調で、WeChat系やコアラといったサイトは1個からでも送料無料なので、みんな大量に買うのだそう。
通常はやはり日本からの輸送費などもあり、日本で買うより1.5倍の値段ですが、独身の日などのセール期間だと日本よりちょこっとだけ割安になることもあるらしく、かなり商品が売れるとのことでした。
欧米、特にアメリカは再度の挑戦ということで、まだまだの様子。
Amazonと提携して通販事業を行う他、店舗もいくつかあるそうですが、ボウシャブランドにはファンケルの名前は入っていないので分かりにくいかも・・・。
泥マスクは人気のようですが、アジアほどではない印象でした。
いずれにせよ、丁寧に質問にも答えていただき嬉しかったです。
海外販売事業の売り上げ比率を全体の25%まであげるという話が出ていましたが、「比率はあげなくていいから売上伸ばしてください。」と最後は本音を言ってしまうほど(笑)社員さんと距離を近く感じる懇親会場でした。
こういう株主総会なら行ってもいいかな〜と思える工夫が随所にみられる総会だったと思います。
総会お土産もいただきました、こちらは多くの人が紹介されているかと思いますが、いろいろ使えそうな内容で、帰り道にマダムの一団が「使えるものばかりで嬉しい」と言っていたので良い内容だったかと。
みなさまのご参考になれば幸いです。