FINSUM2019個人的感想レポート後編

さて、2019年9月3日〜9月6日に開催された金融業界における一大ビッグイベントFINSUM2019

すでに前編にて雰囲気の一端はご紹介しておりますが、業界全体の傾向を理解するのって一個人としても大事なことだと思います。

前編ではコンペの様子を中心に書きましたが、興味深い事業が沢山動いていることが分かります。

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今回、NIKKEI×金融庁主催のFINSUM2019に参加してきました。 FINSUMは金融業界の人たちによって、今後の金融業界についてのワークショップや対談を行ったりする日本における金融業界内の一大イベントです。 個人でも参加[…]

後編では2つのパネルディスカッションと懇親会についてです。

普段なかなか考えることがない事柄を考える良い機会になりましたので、情報を共有できれば幸いです。

10年後のフィンテックと金融を占う

仮想通貨が切り開く未来もある?

時代を牽引する方々のお話ということで、かなりドキドキワクワク楽しく聞かせてもらいました。

「10年後を占う」なんて!って感じですけれど、それぞれの見地から将来予測についてお話されていたので、金融業界の今後というのも変化していくのだろうなと感じ入るセッションでしたよ。

モデレーターの方が上手に話を引き出されていましたが、まずは少しく閉塞感のある現在のフィンテック事情について。

規制が厳しいためイノベーションが進まないもどかしさがあるようです。

とはいえ、メガバンクでも、フィンテック企業に投資にして買収して知的財産を有するといったプロトタイプのやり方ではなく、さまざまなスタートアップ企業と協業していく形になってきたりと、既存銀行のあり方も変わってきているとのこと。

今や、フィンテックの実験的市場でもあった東南アジアなどからスタートアップ企業が登場し、欧米や日本といった先進国にマーケットが広がっていく現象も起きているそうです。

そうやって、相互作用が繰り返されるなか、どんどんスタートアップ企業が出てきては消えたりもしているわけですね。

他方で、AlipayやWeChatpayといったQRコードが主流になっていますが、QEコード決済の技術自体は1997年に誕生していて、もう20年近く前から存在しているのも知られているところです。

結局のところ、利用者からの熱望(既存貨幣への不信感かもしれないけれど)といったものがなければ技術が日の目をみて社会に受け入れてもらえないので、そこには時間がかかるといったことでした。

また、既存銀行への不満がある現在、これからは消費者に愛される企業(スタバがギフトカードを発行したり、アマゾンもギフトがあったりしますよね)が金融事業を手がける例にも言及が。

しかし、資本を管理する面ではビッグバンクの機能は他の追随を許さないところでもあり、安全な資産管理で銀行が活用されるのは変わらないのでは?という見解をもたれる方も。

いずれにせよ、サイバーセキュリティの問題など仮想通貨を含めてフィンテックの世界では技術の進歩が一進一退の状況とのこと。

もちろん、全体的には仮想通貨などの登場によって生活に変化が起きたりしていて、安心して親にも勧められるような状況にしていければという希望的観測も出ていました。

何より、フィンテック業界に関与する企業や人が増えているそうです。

金融包摂のサービスがどんどん発達し、すでに銀行口座をもたない人が融資を受けたりもしていて、金融×テクノロジーだけでなく、情報との結びつきも強まっているとのことでした。

こうした社会の動きの中で、消費者としても投資する側としても注意深く動向を追っていく必要があるという結論だったように思います。

国民のペインポイントを吸い上げろ!〜日本がレグテック先進国になるための方策〜

価値観の変容を迫られる世界に?

さて、2つ目のトークセッションは4日間のFINSUMの集大成といった形のトークセッションでした。

今回のFINSUMでは、さまざまな専門用語が飛び交っていましたが、特に4日目のテーマは、「レグテック」と「ペインポイント」にあったと思います。

一応簡単に言葉の説明をしておくと・・・

レグテック:「Regulation レギュレーション」と「Technology テクノロジー」を掛け合わせた造語。AIなどを活用し、各種規制にかかるコストを引き下げて生産性をあげることを指す。市役所などの手続きを電子化するなども一例。
ペインポイント:痛点ということであり、顧客の不満や悩みの種といった意味。生活において取り除きたい要素。

このペインポイントについて、課題としては先に行われたトークセッションと同じ問題があって興味深かったです。

行政などの既存の規制のしがらみ
儲かるかもしれないがコストがかかるなど運用者の利益確保の難しさ
利用者が利便性を受け入れるための意識改革

これに関しては、Win-Winの3方よしの状況を作り出す必要があるというお話でした。

すでに基本的なテクノロジーがそろっているので、日本の場合は行政側と国民側の理解があれば新たなソリューションはすぐにできそうけれど、そのしがらみを解消するためにどこも動いていないといった感じみたいですね。

民間が動くのであれば、必ず収益が上がらなければいけないので、それを理解することも大事といった様相でした。

しかしながら、なかなか国をあげて理解を得られない根本には、日本人の優秀で我慢強い国民性や保守的でその先々の心配をしてしまう性格が障壁となっているとのこと。

問題までは分かっているようですが、じゃあその意識改革のためにどうしたら良いのか?という話にまでは至らず残念でした。

正直なところ、意識改革というのは難しいところで、若年層ならば教育機関で一律に教えることもできなくもないですけれど、成熟した大人の多い日本という国では価値観を変えるって本当に難しいことだと思うんですよね(これは、とるに足らない私見部分ですので、読み飛ばしてください(笑))

キャッシュレスの便利さよりも、使い慣れた現金支払いを選ぶのって人間として当然の感覚。

変わらないことってすごく楽チンで、その手間賃が矮小な日本では、変化を生み出すのはかなり大変だと思います。(キャッシュレスが進んでも、現金支払いが可能でその手間賃はとられないとかね。)

先進国特有の悩みかもしれないけれど、もし本当に解決したいというなら、かなり抜本的な解決策をとる必要があるのかな?と。

まぁ、利用者側の意識を変えるには、アメかムチかだとは思うのですが・・・

  • 圧倒的なゲイン(利用者の利益になるようなこと)が与えられる。
  • フィンテックを利用しなければ生活できないようにする。(極端なことをいえば現物貨幣廃止とか)

恐怖や不安を人に与えるのって嫌なことですけれど、思いきったことが必要な時期というのもあるのかもしれません。

さて、トークセッションの中身に戻って、希望的な観測のお話を。

いずれにせよ、すでに実験的に行われていることはいくつかあり、法整備などは後から追いついてくるといった事例もあること。

日本では熊谷千葉市長がお話してくれた通り、千葉市などで先駆的な事例も出てきており、うまくいかなくてもどんどん成果をだしていって改善されていく流れが生まれていく必然性が今後求められるというようなお話でした。

千葉市の画期的な取り組みについては、すでにいろんなメディアに取りざたされているところかと思われます。

ドローンへの取り組みも、都市部である千葉市だからこそ、収益化の目処も立てやすく良い事例になることが期待されるところですね。

国の補助金の出し方など問題はあるものの、すでにある技術をいかに社会に根付かせていくか、豊かな生活を享受していくか、そのためのPDCAを回していくことが求められているのではないか?という結論だったかと思います。

事業者にとって、収益を出すためにしがらみが多いのは大変なところではあるものの、共感と利他的な精神でもって、イニシアチブをとる地域や企業が出てくることが望まれているように感じました。

FINSUM2019アフターパーティー

皇居外苑の和田倉噴水公園は魅力的な雰囲気でした

最後に、FINSUMアフターパーティーについても。

開催場所は、皇居外苑にある「和田倉噴水公園」で、現在の上皇様と上皇后様がご成婚されたときに会場だった場所だそうです。

普段、一般的な催事は行ってはいけない場所だそうですが、今回は環境省さんなどの協力もあり、イベント会場として使用できたそうです。

DMO東京丸の内といった街づくりプロジェクトも関わっており、今後こうした場所がビジネスイベントが開催されることもあるかもしれませんね。

日本の首都東京のMICE、ビジネスイベントの開催地、東京・丸の内エリア。国際会議や学会、企業のインセンティブツアー、ビジ…

とにかく、おしゃれなライトなども設営されており、雰囲気もよくお料理も美味しくてかなり楽しめました。

外国から招聘したゲストも多かったので、こういった場所を活用する試みは興味深かったです

正直、どのように参加されていた方と絡めばよかったのか分からなかったので、雰囲気とお料理と女子会を満喫して帰ってきてしまいましたが、上手に交流ができればさらに良い場所だったかな、と。

いずれにせよ、金融業界はめまぐるしく変化していて、その変化を肌で感じられるイベントだったと思います。

来年もFINSUMがあるなら、最先端の金融情報のアップデートに行ってみたいですね。

多くの人に、こうした現状が伝わっていくともっといいなと思いつつ、個人的感想レポートをしめたいと思います(笑)

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