今回、NIKKEI×金融庁主催のFINSUM2019に参加してきました。
FINSUMは金融業界の人たちによって、今後の金融業界についてのワークショップや対談を行ったりする日本における金融業界内の一大イベントです。
個人でも参加できないことはないのですが、参加するにはちょっとお高めのチケットが必要なこのイベント。
今回はきんゆう女子。の取材ということで、プレスの一員として特別にご招待いただきました。
金融関係のお仕事をされている方たちと出会うことはあっても、業界内のお話を聞くのは初めてでしたので結構ドキドキでした。
実際に、結構難しい業界用語も多く、まだまだ一般層には届いていない話も多かった印象です。
公式の情報やきんゆう女子。としてのオフィシャルなレポートはレポートとして・・・
まずは、参加してみた個人の感想から。(拙い言葉で申し訳ないですが、こういう記録も大事ですのでご容赦を。)
最終日の午後からしか参加してませんが、4日間の集大成といった感じもあって結果として全体像が見えた点ではよかったかな、と思っています。
レポート前編は、ビジコンやスタートアップピッチの授賞式で賞に輝いていた将来有望そうな企業さんのご紹介を中心にまとめてみました。
みなさまのご参考になれば幸いです。
FINSUM2019開催概要
遠藤金融庁長官や麻生財務大臣にお目にかかれる機会
FINSUM2019開催概要は以下の通りです。
開催日時:2019年9月3日(火)〜9月6日(金)9:00〜18:00
開催場所:東京・丸ビル7Fメインホール、8Fイベントステージetc.
特別協賛:三菱地所
プラチナスポンサー:SBIグループ・mastercard・NEC
ゴールドスポンサー:MUFG・SMBC・NTTデータ・農林中央金庫・EY Japan
シルバースポンサー:Afrac・NOMURA
とにかく錚々たる企業さんがスポンサーになっていて、この他にもアソシエイトの企業さんなども。
NIKKEIさん以外にも数多くのメディアが入っていました。
何より、後援には経済産業省や日本銀行などが名前を連ねているイベントで、9月5日には遠藤金融庁長官や麻生財務大臣が挨拶にいらしていたので、参加者も多かったのでは?と推察しています。
とにかく、日本をあげての大規模な金融系イベントですね。
正直、業界関係者さんがたくさんいらっしゃる感じでしたので、純粋に門外漢の一般人の私、浮いてたと思います(笑)
金融とテクノロジーの融合によるイノベーションを目的としており、国内外の有識者たちによるトークセッションなどを全4日間で行うものでした。
シンポジウムなどは英語で行われるものもありましたが、同時通訳が入ったので聴衆側は(専門用語分からないなぁ・・・ってことがなければ)内容自体は把握できた環境でした。
さまざまな国や地域の方がいらしていたので、閉鎖的な日本の中でも開かれた場所があるものだなぁと感慨深く思えました。(もしかすると、それぐらい日本社会において危機感があるともいえるのかもしれませんが・・・)
とにもかくにも、普段は聞けない業界内部の、さらに最先端をいく考え方やフィンテックの開発状況などが知られて有益な時間となりました。
大学ビジコン結果発表&表彰式
世界には新たな可能性を秘めたビジネスがたくさん
開催期間中には大学ビジコン(全国大学データ・AIビジネスコンテスト)も行われており、優れたアイデアが表彰されていました。
表彰式だけ見させていただきましたが、審査員が良いと思ったアイデアを知ることができてよかったです。
優秀賞は、デバイスに搭載可能なAIを活用するHacarusと東北大学発の技術を活用し、地域スポーツに貢献したり、GAFAの個人情報を分散化するといった技術を持つゼロワ。
Hacarusは、スパースモデリング技術を活用して少量の学習データからでもAIに深い知見を学ばせることができるといった点が評価されたようです。
農林中央金庫賞(特別賞)には、小型衛星を沢山打ち上げて地球をスキャンすることで、地球環境や食料危機を解決を図る取り組みを考えているアクセルスペース。
とても大きな夢のあるお話といった印象でした、副賞がお米券1年分だったのは、さすが農林中央金庫って思いました(笑)
そして、最優秀賞には電力メーターなどの動きによって在宅確認を行い、最適な宅配ルートをAIで導き出すといったサービスをプレゼンしたJDSC。
JDSCは、まさにこれから少子高齢化を迎える日本の社会問題に直結した問題解決を図る側面が評価されているように感じられました。
スタートアップピッチ結果発表&表彰式
大きな夢のある企業も多くて感心しました
スタートアップピッチは、世界14ヶ国から、フィンテック&レグテック関連のスタートアップ企業がプレゼンを行い、その内容が審査され、優れた企業を選ぶコンテストでした。
大学ビジコン以上に、すでにビジネスとして成り立っている企業の優れた部分を知ることができて大変興味深かったです。
すでに結果はHP上で公表されていて、各企業の取り組みも分かるようになっています。
さまざまな国の企業が表彰を受けている様子をみていて、ちょっと取り残されている感を感じるほどに、新たな技術が特に新興の国々でも起きていて、既存の金融スキームがない場所で大いに活用されているのを実感しました。
受賞された企業さんは以下の通りです。
日経賞:iProov(UK)
AIと生体認証を組み合わせて本人確認を行い、サイバー攻撃などから個人の金融を守るサービスを展開。
人と人のface to faceで確認されていた本人確認が、マシンと人とのface to faceとなって現在、コード改ざんなどで安全な認証が難しくなっている点をフォローしてくれるサービスを提供する企業さんです。
SBIグループ賞:Oradian(クロアチア)
Oradianは、金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)の中でも途上国へのサービスを幅広く展開。フィリピンでは50の金融機関をタッグを組んでいたり、ナイジェリアでも個人融資サービスも行っているとのことで、アジアなどへサービス展開したいと考えるSBIグループさんの目にとまった模様。
プラグアンドプレイジャパン賞:reinfer.io(UK)
reinfer.ioは、日々膨大にやりとりされているメールやチャットの非構造化データを構造化(AIが学習しやすいように変換)して、分析などを行うサービスを展開。保険会社や資産運用会社とタッグを組んで、情報分析をしている企業さんとのこと。
ちなみに、プラグアンドプレイジャパン(Plug and Play Japan)さんは、シリコンバレーなどの海外と日本のスタートアップ企業と大手企業の架け橋などを行なっている会社さん。
日々の生活をしているだけでは実感しませんが、こうした国内外の協働はかなり進んできているようですね。
英国賞:Soramitsu(Japan)
カンボジア中央銀行とタッグを組んで現地の決済インフラを整えたり、モスクワ証券取引所との証券保管振替(ほふり)の共同開発をしている企業さん。
会津大学などともコラボして、学内通貨などを発行したりと日本の地域にも最先端の金融プラットフォームを推進させようとしているところが評価されたようです。
Soramitsuは日本企業とのことでしたが、6つの国や地域に支社をもっていて、働く人も活動場所も日本にとどまらずといった印象。
IRONAと呼ばれるブロックチェーンの包括的サービスを展開し、仮想通貨BAKONGetc.を発行していたりと日本にとどまらずといった感じですね。
カンボジアでは複数の通貨での支払いに対応したりしているようで、まさにお財布いらずになりそうな世界です。
とにかく、金融の世界をリードするのは英国スタートアップ企業なのかなぁ?と思ったり。
クロアチアなど、ヨーロッパの小国も金融包摂基盤を作りやすかったりといった側面もあるでしょうか。(あとは既存の規制にひっかかりにくいとか。)
エストニアなども役所の手続きが電子化されていると聞きますが、やはりスタートアップ企業として海外勢の勢いと新興国で次々と活用事例が生まれている盛り上がりを強く感じました。
普段、何気なく過ごしているだけでは分からない、海外の金融事情の一端を垣間見られて驚くことばかり。
日本からもさまざまなアイデアやサービスが展開されているようですが、プロジェクトを動かすメンバーや活動拠点など、日本という枠組みを飛び越えていってる雰囲気、いろんなものが詰まっていたような気がします。
金融の世界は、規制との戦いといった側面もあるようですが、すでに動き出していることが沢山あるのだな、と改めて感じるような場でした。
こういった現状を考えると、新興国投資もやめられないよな〜と思いつつ(笑)
とにもかくにも、スタートアップ企業の活躍にさらに期待、と思わせてくれる機会でした。