【書評】グラント・サバティエ著『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』

いろんな方面で話題となっているので、年末の課題として読んだ『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』の書評です。

個人的に、すでに若年層でのリタイアは難しいのですが、こういった考え方が出てくるのは興味深いなと思いましたし、会社から離れての活動ができる裁量が広がるのって良いなと感じました。

日本でも、Twitter界隈などでセミリタイアやアーリーリタイアを実現した方々がいらっしゃるので、いつも尊敬の念をもって交流させてもらっています。ありがたい時代ですね。

実際に経済的自立+アーリーリタイア=FIRE(Financial Independence Retire Early)には才能や才覚が必要に感じますが、一般的な庶民でも真似できることはたくさんあると感じました。

とくに興味深かった点について、まとめておきたいと思います。

支出の最適化・収入の拡大・資産運用の重要性

このあたりは日本の資産運用本でもよく言われているところ

著者グラント・サバティエは、貯金わずか2.26ドルの状態から、たった5年で純資産125万ドルを超え、30歳で経済的自立に到達した人なので、かなりインパクトが強いですが、言っていることはそんなに難しいことを言っているわけではありません。

目次は以下の通りです。()カッコ内は私が理解した章ごとの一言紹介です。

第1章:お金とは自由(経済的自由のための7つのステップ解説)
第2章:時間はお金よりも貴重(時間の重要性)
第3章:あなたの目標とする数字は?(リタイアに向けての金銭的計算方法について)
第4章:あなたのいまの立ち位置は?(財務状況の把握)
第5章:次のレベルへ(収入を増やすための方策)
第6章:それに見合う価値があるのか?(徹底した支出の検討)
第7章:あなたにとって必要な唯一の予算(支出の最小化のための方法について)
第8章:9時5時の仕事をハックしよう(本業の有効活用方法)
第9章:より少ない時間でより多くのお金を稼ぐ(副業のやり方etc.)
第10章:投資戦略の7つのステップ(資産運用ことはじめ)
第11章:不動産投資(不動産投資ことはじめ)
第12章:十二分な資金を確保するための戦略(資産運用の出口戦略)
第13章:将来を最適化するためのフレームワーク(最適化への心構えについて)
第14章:より豊かな人生を送る(著者からのメッセージ)

資産運用やリタイア後のことについては、第10章以降にまとまっています。それゆえ、この書籍の中では資産運用のことは分量的には多くないんですよね。

資産運用としては、株式を組み入れたETFとしてVTIなどへの投資や債券を組み入れたETFとしてBNDといったETFへの投資について触れられていますが、基本的に「投資で1発当てる」といった考えは入っていないと思います。

著者自身がすでにFIREされている方なので、若干投資については守り気味な意見が多い印象を受けました。

資産運用については、保守的なぐらいがちょうどいいのかもって感じですね。

根本的には、本業+副業+資産運用で収入を増やすことが第一に説かれています。

そのためには、余計な支出は削るべきだし、余暇の楽しみ方も上手なやり方があることを紹介されていて、節税といったことも強調されていますね。

いわゆる収入を最大限に拡大し、支出を最小限に抑え、資産運用で資産を増やすという王道が骨子です。

このあたりは、日本で販売されているお金の本とかとあまり変わらないと思います。

ただし、その深さが尋常じゃないって感じです(笑)

著者の言葉を借りるならば、エンタープライズ・マインドを持って日々生活することが重要であるということなのですが、こうした視点が果たして良いかどうかはちょっと考えちゃいました。

一部については以下について触れておきますね。

ちなみにYpuTubeでも紹介などいっぱいありますので、ご参考までに。

ホームページには他の人の事例なども出ているので、本を読むのが面倒ならば動画で知るのも良いかもですね。

収入の拡大には事業的視点が必要

常に締めるところは締める、稼ぐところにフォーカスする

特に書籍での強調点は収入の最大化を目指すことで、その点ではかなり納得するところがありました。

  • 効率よく本業の仕事をこなし、福利厚生などを上手に活用すること。
  • 将来の支出なども計算するなど数字でもって見通しをたてること。
  • 副業で稼ぐ力を最大限発揮すること。
  • 得られた収益に対する税金などはしっかり節税して出て行くお金は最小限にとどめる。

いずれの点も、最大化のために必要なこととして納得するところもあり、人情がそれを許さないところもありという感じで読みました。

稼げる人のことをすごい!って思う反面、そういうことはボランティアの範囲でやってはいけないの?なんでも金銭換算してしまうの?などと感じてしまうところもありました。

もちろんお金をいただく限り、プロ意識をもって取り組んでいるのでしょうが、そうなるとそこまでの精度までサービスを高めることの困難に立ち向かわないといえず、果たしてそれがどれほどに人のできることだろうか?って考えてしまうところも。

いずれも正論でありつつ、冷徹な印象も受けました。

Sayasayanになかった視点としては、ホームページの作成一つとっても、小規模なところの価格は低めでも大企業などを相手にする場合は、資金的に余裕があることが多いので高価格で受注するといったこと。

副業でも事業者視点をもち、人を雇って不労所得へとつなげていく等の感覚は、目からウロコに感じました。

何事も始めることも大事だけれど、始める前から勝負が決まっていることというのもあって、こうした大局的視点で何事も動いていくことが現代的な「賢さ」なのかな、と。

なにはともかく、収入を最大化していき、節制につとめるというプロテスタント的な考え方だなと感じましたし、ゆるゆるな人生なので、金額の数値化などについてはちょっと頑張ってやってみようかなって思いました。

数字の計算については、サイトにあるツールが活用できるそうです。(英語だけど無料です。)

章ごとに振り返って、その都度自分の分をゆっくりやってみるのもよさそうです。

20代じゃなくても5年間の短期間でなくても

FIREは時流だけれど、必ずしもこうなる必要はない

個人的に、自分にはない視点や物事を深く検討すること、何よりそれに真剣に取り組み実践してきた著者や、著者の周りにいる人々のことを尊敬する内容でした。

20代でアーリーリタイヤができれば人生の選択肢は広がるし、5年という年月でできるのか!っていう感動もありますよね。

とはいえ、これはまず本業に恵まれなければ成し得なかったことだなと感じました。

もちろん、20代で職探しをした著者は転職にも苦労したとは思うのですが、日本より労働力の流動性が高いアメリカでのことですし、個人の持つ能力値や運要素が複雑に関わっていることを忘れてはいけないなと思いました。(どこで生きるのだって大変ですし、こうならなかった可能性だってもちろんあるわけですからね。)

また、なんだかんだで犠牲にしているものもあるということもポイントでしょうか。

若年層ならば良いけれど、すでに30代・40代となると実現は厳しいって思うことも多いので、全部が全部真似できるものではないって感じです。

何より、書籍に出てくる事例では、あまり家族持ちの話は出ていないので、そのあたりも勘案しなければいけないかもしれないですね。(逆をいえば自由にできるうちにリタイアを目指せということなのですが・・・)

ちなみに、我がマミーに書籍の概要を聞いてもらったところ、みんなそんなに仕事が嫌で辞めたくて、不動産投資したいのかしらねぇだそうです。

Sayasayan的には「そうみたいですねぇ・・・」としか回答できませんでした。

個人的に仕事はそこまで嫌じゃない(嫌なことはあるけれど、それで仕事の魅力は半減しない)し、不動産投資は良くも悪くも他人を巻き込むので、絶対したい!とは思わない(興味はありますけどね)こともあり、思わずこんな反応に(笑)

Sayasayanは両極端を嫌う中庸タイプなので、怠惰と勤勉の間で生ぬるく生きたいと改めて考えさせられました。

本国のコミュニティでもそうらしいのですが、別に書籍のような極端の例を目指すことが当たり前だったり、推奨されているわけではない模様ですしね。

変にこうした流行みたいなものに振り回されないことも大事かな、と。

でもね、じゃあこういうのを全く無視するっていうのもおかしな話で。

収入の最大化も考えてみるのは悪いことではないし、支出の見直しをもう少し踏み込んでやってみるのも痛みを伴うことだけど、良い発見があるかもしれません。

何よりFIREとは何か、どうやって実現できるのか?というのが知りたい人には、つまびらかに明かされている良書だと思います。

冬休みの課題図書として読みたかった本ですが、来年に向けて真似したいこともたくさんあったのでとても学びになりました。

FIREについて気になる方は読んでみてはいかがでしょうか。

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