2020年9月9日(水)15:00〜16:00に開催されたJPXアカデミー・オンライン講座「渋沢栄一と日本に株式会社制度を導入した人々~近代史で学ぶ経済~①株式会社の誕生」の聴講レポートです。
ちなみに、講師はきんゆう女子。でもきんゆうの歴史10回シリーズを担当されている石田せんせいです。
投資とか保険とかお金のことを勉強すると金融にまつわるいろんなことが気になるところです。 そんな中で、金融や経済について学ぶコミュニティきんゆう女子。の女子会の中で、きんゆうの歴史の学ぶ女子会がスタートすることになりました! 講師[…]
今週から毎週同時刻に開催する5回シリーズの経済史講座の記念すべき1回目でした。(5回目は大学の先生との対談形式とのこと)
今回は、初回ということもあり、渋沢栄一本人についてというより、彼に大きな影響を及ぼした欧州での株式会社ブームや世界初の株式会社が成立するまでの世界史の流れについてざっくり教えてもらいました。
経済史だけを習うことってなかなかないので、今回はそうした株式会社の歴史を追えてとても楽しかったです。
無料でYouTube配信とは、jPXさん本当に太っ腹ですね(笑)
渋沢栄一さんはどんな人?
取引所を作ったことこそ結構大事?
(Wikipediaより)
まずは、渋沢栄一さんについて。
第一国立銀行設立に関わった立役者のイメージが強く、日本の資本主義の原型を作り上げた人物だそうです。
(あ、ちなみにSayasayanは何の予備知識もなく飛び込みましたので、終始ふむふむ・・・って感じでしたが、これ当たり前の知識みたいでした(笑))
しかしながら、銀行を作ったことだけでなく、銀行を通じてお金を必要なところに流すことが目的で、お金の流通ルートの拠点となる取引所の設立もとても重要な彼のなした業績だとおっしゃっていました。
日本では、1878年東京株式取引所が設立されたとのこと。
この背景には、渋沢栄一の渡仏体験が大いに関わっているとのことでした。
合本主義を唱えて、公益性を重視し、まるで株式投資や株式市場を否定していたかのように言われることもあるそうですが、むしろ日本の慣習的なシステムも継続させながら、欧州の有限責任制など株式会社の有用性などを理解し、日本に導入したことこそが彼の功績といった印象でした。
株式会社設立以前の古今東西の商業システム
宗教的価値観が大きく影響?
今回は、株式会社の歴史についてでしたので、まずは株式会社ができる前の商業システムについてもお話されてました。
いわゆる「会社」(狭義に、集団として判定の権利と権限を政府から許可された独立法人)は、紀元前の頃より存在していたそう。
古代ギリシアのエーゲ海貿易の段階で、両替や為替、融資などの取引が行われていたことが分かっているのは驚きでした!
文明が発達したところでは、独自の経済・商業システムが発展していて、通常社会の商習慣と国家による介入のバランスは均衡しているのが理想なのですが、イスラーム圏では世界は神がデザインしたものなので、市場価格も同様と考えていたそうですよ。
それゆえ、世俗の国家権力の介入を許さず、社会規範の強い自由市場が形成されていたとのこと。
逆に中国では天命を受けた天子(皇帝)の下に集う官僚(エリート)によって、国家による価格統制が強いのが特徴。
それゆえ、官僚の腐敗→一揆→新しい王朝の成立を繰り返すことになったとか・・・。
これに対して、キリスト教圏では古代ローマ時代の借金まみれの庶民の生活を反省し、完全とはいかないまでも自給自足経済が求められることに。
宗教と経済システムが密接に結びついていたりするのですね。
世界初の株式会社の設立
大航海時代に大きな変化?
キリスト教圏も自給自足経済を目指したとはいえ、完全にできたわけではなく、商取引は実際に行われていたようです。
そして株式会社の前身として、北イタリアのヴェネツィアで「コメンダ」という仕組みが機能するようになって歴史が大きく変わっていったとのこと。
「コメンダ」とは、1回限りの貿易などのミッションに対する合資会社のことで、チャレンジャーな若手に対し、パトロンとなる資本家がお金を出し合うという制度が成り立つことで、新たな事業が行われ、ヴェネツィアは繁栄を極めました。
残念なことに、ヴェネティアではこのコメンダの制度が廃れて街自体が没落してしまったわけですが、この制度のより巨大な資本&長期事業版が、いわゆる株式会社の原型となります。
大航海時代になると、長期的で巨大な資本を必要とする高リスクな事業(植民地事業)が現実味を帯びてきて、各国はその対応に追われることになります。(植民地はとられちゃったら終わりですからね、国家間の競争は激化していったことは世界史でよく耳にする話でしょうか。)
そうしてできたのが、世界初の株式会社オランダ東インド会社ということに。
どうしても長期事業は利益を回収するまで投資を継続させる必要があるため、ネックになるのが以下の2点。
- 一人で責任背負いきれない!
→有限責任制にし、役割分担や資金の資本家の出資金に対し最低保証などをもうける。
- 資金拘束は辛すぎ!お金必要になるかもしれないじゃん!
→お金を引きあげたいときにできるよう流通システムの必要性=取引所の成立
と、オランダ東インド会社は当初よりかなりよくできた組織だったことが分かっているようでした。
というわけで、1611年にできたアムステルダム証券取引所が世界初の証券取引所とのこと。
オランダ先駆的ですね〜、イギリスの東インド会社も見習ってこの制度を取り入れていきます。
そしてアメリカの開発などにもこうした形式で多額の資本が投じられて、発展していくことに・・・。
お金の流れも大事ですが、お金を流す仕組みも同じくらい大事ということですね。
そして、こうしてヨーロッパで生まれたシステムを後の維新時代の日本人に多大な影響を与えていくということのようです。
今回はここまで〜ということで、これは次回も気になっちゃうじゃないか!な内容でした。
JPXさんにちょっとしたお願い
まさか、聞いて欲しくないわけではないですよね!?
最後に、やっている内容はすごく良いのに、もったいないな〜と思うことが多かったのでJPXさんに苦言。(もちろん、良い子は読まなくて大丈夫です(笑))
告知段階から思っていましたが、平日水曜の15時〜ってなかなかすごい時間にやるなぁって思いました。
(しかも、告知が結構遅くてこれもびっくり・・・私みたいに暇な人はマイノリティだと思っていたのですが・・・)
社会人や学生・教員対象ってなっていますが、「一般的な」社会人は会社、学生・教員は学校などにいるのではないでしょうか・・・???
Twitterとか見ていると、セミリタイアやリタイアしている方、在宅ワークの方・自由業の方などいっぱいいるように錯覚してしまうけれど、あまり視聴時間として良いとはいえない気がします。
聞いてもらいたくないなんてことはないと思いますが・・・どうにかならないものでしょうかね?
(いろんな事情があるのでしょうが、オンライン配信なのだし、いつ視聴がされているかなどもデータが蓄積されてきていそうですが・・・。いや、ただのお節介だとは思うんですけど・・・もやもや。)
また、申し込みボタンが視聴ボタン化しているのもちょっと驚きです。
直前まで申し込みできないの!?という変な事態に・・・
JPXのHPで15時になるのを待って「申し込み」ボタンを押す→配信画面へというなんだか不思議な経験をしました。
5分前くらいに視聴画面で待機したりできないのかな?とかも思ったりもしました。
せっかく興味深いお話が聞けるのにもったいない!とつくづく思ったので、つらつら。
そして、最後に勝手に告知です(笑)
今回から、あと4週にわたって日本の近代経済史が配信されるとのこと。
2回目はいよいよ、明治維新〜維新後の日本の経済システムの変革についてのお話のようです。
伊藤博文や井上馨、そして渋沢栄一と歴史の偉人がいっぱいが登場する予感・・・?
9月16日(水)15:00〜JPXのHP上のセミナー・イベントのページより申し込みボタンをクリックしてみてください。(すぐにYouTube配信画面には飛べます。)
ご興味ある方は、ぜひ視聴してみてくださいね。