さて、6月は3月決算の企業さんの株主総会ラッシュですね。
社会の仕組みをリアルに知るためには、株主総会などに参加してみるのも一つの手段かなと思います。
知識としては、学校で習うことではあるので、あとは体験を補うことが必要かな、と。
いよいよお待たせいたしました(?!)、中学で学ぶ経済シリーズ第4弾! いよいよ、株式会社の仕組みについてです。 さすがにインデックス投資なんていうのは出てきませんが、会社のシステムについては誰もが学んだところではないでしょうか?[…]
とはいえ、この時期はどこの学校も休みはあまりないでしょうから、子どもを連れていくなら12月決算企業→3月総会(春休み期間中)あたりが狙い目かなぁ(今度は親の側が有給とかって話になってしまいますが・・・)とか考えますけれども。
それはさておき、毎年恒例(にしていきたい)日本取引所グループ株主総会が開催されましたので議決権行使してまいりました。
ささやかながらのお土産をご用意と記されていて、なんとも奥ゆかしい(笑)
お土産廃止も多い中ですので、かなりの人数が予想されましたがのこのこ行ってきた感想をまとめておきます。
株式会社日本取引所グループ株主総会事業報告など
グループとしての取り組みや配当について
概要は以下の通りです。
株式会社日本取引所グループ第18回定時株主総会
2019年6月19日(水)午前10時より
東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目1番1号 ロイヤルパークホテル3階ロイヤルホール
第一号議案:定款一部変更の件
第二号議案:取締役14名選任の件
場所は前年と同じで、会場もかなり多くの人が集まっていました。
年配の男性が多かったですが、女性もかなり多い印象で多様な方々が集っていたかと思います。
議決権は45742名・536万3305個に対し、行使は19096名・481万8897個と比較的多いように感じました。
監査報告と事業内容などの説明を受けましたが、基本的に金融市場のインフラ整備を推し進めるとのことで、投資家に対しては中長期的な資産形成を、上場会社に対しては価値創造のお手伝いをしたいとのことでした。
個人投資家の焦点になりがちなのが、配当金についてですが、配当性向は60%を目標として、普通配当が28円、これに加えて東京・大阪取引所140周年記念ということもあり、特別配当15円込みで期末配当43円とのこと。
なかなかの水準ではないかと思います。
今後、さらにデジタルな取引やインフラの維持のために設備投資もかかるでしょうが、個人投資家への配慮を感じられる説明でした。
市場への責任と未来への挑戦をキーフレーズに、特に強調していたのは総合取引所の実現とその発展。
具体的にいうと、東京商品取引所の統合について言及されていました。
世界的にみても規模の大きい東京証券取引所ですが、さらなる取引の加速を目指しているようでした。
質疑応答について
硬軟様々な質問が飛び交っておりました
さて、株主総会に参加するのは、なんといっても個人投資家さんの質疑応答を聞くのがメイン。
株式会社日本取引所グループでも例外なく、しっかりとすべての質問に答えていただきました。
私のようなへっぽこ投資家は、賢明な投資家さんの質問を聞いて、知らない単語を調べたりと知識を蓄えていくので、質疑応答はしっかりそば耳を立てております。
今回も多種多様な質問が登場しましたので、私の分かる範囲でまとめておきます。(くれぐれも私のバイアスがかかっていることを前提としてゆるく読んでくださいませ。)
Q1.配当性向60%以上というが、香港やシンガポールは80%以上出しているがどのように考えているのか?
A.60%は最低限の株主との約束事ととらえている。
Q2.株価が低迷しているが自社株買いなどは検討しているのか?
A.東京商品取引所との統合があり、自社株買いができなかったが、特別配当部分も考慮すればそれなりの配当性向になっているし、資産を配当として配分するのはやぶさかではない。市場出来高が株価に反映していると思うが、日本株への依存度を減らすなど資本の使い方として常々考慮している。
Q3.東京商品取引所統合の狙いは?
A.JPX発足前から総合取引所は閣議決定されていたもの。10年経ってようやく動き出した感がある。世界のデリバティブ市場が伸びる中、総合取引所として今後コモディティなどのデリバティブ投資の機会を増やしていきたい。
Q4.MBO(マネジメント・バイアウト)を行う場合の価格規制をすべきでは?
A.会社経営陣が株式から自社株式を譲り受けたり、事業部門統括者が当該事業部門を事業譲渡されたりするMBOによる価格変動などが個人投資家に影響することはよくわかっている。価格の公正性という意味では十分の情報が出されるべきと考えている。
Q5.社外取締役が普及しているが、企業によって縁故などで人を入れているように思われる。東証側から指名制にしたり対策が必要なのでは?
A.社外取締役を選ぶ際にどのような手続きを踏まえるかは議論するべきところ。上場規則でしばるかどうかは考え所であるが、目を光らせられるようにしたい。
Q6.株主総会が6月の2週間に集中しているのはどうにかならないのか。また総会での提案などが毎年同じなど改善の見られない企業も多く、総会の点数化などが必要ではないか。
A.3月期決算の企業が多いこと、会社法のしばりで決算から総会までの時間が決まっていることなどで致し方ないところもある。各企業によってできること・できないことはあるのでご容赦いただきたい。
Q7.とある企業に株主提案書を送ったが個別株主通知が必要などと言われ受け付けてもらえない。株主名簿なども見ることができず、問い合わせ先でも法律知識など知らない人材が多く、株主が意見しやすい環境が整っていない。
A.JPXでは上場部分以外はタッチできない。JPXから個別企業についてお答えすることもできないが、機会があれば企業側にそのような対応については真摯に伝えていきたい。
Q8.安心安全の取引というが、それには情報開示が必要と思われる。主要株主の提示など考えられるが、主要株主の筆頭が信託銀行などで実質株主の公表がない。
A.会社法の制度上、信託銀行などが保有している記載になる。実質の株主の公表というのは難しいところと言わざるをえない。
Q9.株式の価格を5〜50万円を適正と打ち出したことで株式併合する企業が出てきている。弱小投資家では購入できなくなったりするので5万円の下限を撤回してもらえないか?
A.あくまでもJPXとしては5万〜50万円というのは目安である。あとは個々の企業の対応ということになる。
Q10.株主総会はウィークデーの午後や土日開催にしてほしい。
A.個別企業の対応となり、JPXからというのはなかなかに厳しい。いろんな形では企業側に伝えていきたいと思う。
Q11.東証一部上場基準の見直しについてのJPXの意図は?
A.正確には、東証の元4市場(1部・2部・ジャスダック・マザーズ)がこのままで良いのか?という議論である。より使いやすい市場に向けて関係者の意見も割れているところであるが慎重に検討している。もちろん、TOPIXへの影響など指数の観点からも影響は考えているところである。
Q12.コンプライアンス重視といいつつ、企業による不祥事など問題は起きている。問題が起きると株価が下がり、空売りなどを仕掛ける存在もいて、もう少し規制できないのか?
A.法令に基づき、一定の金額の下落に対する売買価格の停止や空売り規制は行われている。
Q13.株主優待などの今後は?
A.JPXは発足から6年、個人株主のことを貴重な存在として考えている。長期で保有してもらえるよう長期優待制度を実施しており、機関投資家からは批判される部分もあるが、この点については常に対決している。個人投資家を大事にしたいという意向に変わりはない。
Q14.現時点で市場の枠組をどのようにとらえ、変更事項など決まっていることなどはあるのか?
A.現状決定したものはないが、現状のままでいいという声もない。審議は始まったばかりなので、今後さらにさまざまな意見をヒアリングなどしていきたい。
Q15.市場の改変は本当に個人投資家にとってメリットがあることなのか?
A.さまざまな市場参加者にとって良い方向にしたい。やはり東証一部に時価総額20億の企業と20兆のトヨタが一緒に存在するなどはあまり良くないことと考えている。
Q16.JPX400や日経225といった指数のインデックスの銘柄が多すぎるのでもう少し絞ることはできないのか?
A.指数ビジネスなども注目されているし、JPXとしてもESG関連指数の開発などに携わっており注力していきたい分野である。
Q17.取引所の取引時間を延長する予定はないのか?
A.夜間取引や時間延長などこれまでも取り組んできたこともあるが、反対の声は大きい。やはりコストを回収できないと目されているのだが、海外のイベントと関わる機会を個人投資家に提供したいと考えているし、将来的に実現していきたい。
Q18.大地震などのバックアップ体制を教えてほしい。
A.巨大地震にも耐えうるデータセンターを豊洲に有している。埼玉にバックアップセンターを持っているが、現在関西方面に新拠点を検討。人員も東京⇄大阪とスイッチングできるようにしてある。
Q19.高速取引の対策について教えてほしい。
A.市場が安定して取引できるようにインフラ基盤は整えている。現在5000万件注文が出ているが、3.2億件さばけるようにしている。高速取引をする業者は金融庁登録であるし、JPXにも情報開示することが義務付けられているので、対策としては現状問題はない。
Q20.JPXから総会日時の重なりを公表するなどして、ばらけるようにできないのか?
A.企業対応ということなので、強制できることではないが、予定日はJPXのHPにて分かる範囲で出しているのでよければチェックしていただきたい。
Q21.取引関連収益が6%減ということですが、今後対策はどのようにされるつもりか?
A.日本株取引が減少したためであって、今後日本株に依存しすぎないモデルを作っていくつもりである。
Q22.株だけじゃなく、ETFなどの他の金融商品の啓蒙は?
A.ETFについては商品ラインナップを拡充しているところで、ETFも230〜240ほど増えている。金融リテラシー向上のための情報セミナーやコンテンツの配信など鋭意やっているところである。
Q23.株主総会はとことんやるべし。ちなみに社員の男女比率や有休消化率などについて教えてもらいたい。
A.基本的にはすべての質問をお受けするスタンスでやっている。社員全体の有給取得率は70%を目標としており、実際71%を実現。1100人ほどの社員のうち、女性は300人ほどでおよそ27%である。男女別の有給取得率はデータがないのでお答えできないし、業界全体についても分かりかねるが、金融業界の中では取得率は高い方だと思っている。
会場の雰囲気&所感など諸々
個人的には総会時間の短縮とか嬉しいです(笑)
さて、全体的に2時間超の長丁場の株主総会は、個人投資家に配慮した内容だったかと思います。質疑応答にもしっかり答えていただきましたし、大変勉強になりました。
会場の雰囲気も暴言が飛ぶこともなく(笑)落ち着いていたと思います。
キーワードは「会社法」と「株主総会」で、特に株主総会の開催の時間をずらしてほしいや、すでに実施している企業もあるといった情報交換になっていた部分もありました。
全体として、みなさん株主総会に行くのはやぶさかではない時間に余裕がある方々ばかりでしたが、1個人としての希望を伝えるならば株主総会は・・・
時間が読めるようにしてほしいが結構あるかな〜と。
現役世代でも投資をしている人はいて、JPXを保有するサラリーマン投資家も多いと思うんですよね。
そうすると、株主総会参加したい人も結構いるはずで、午前10時早いとかいう人が多かった印象ですが、逆に都内勤務の人なら、8時にはじまって9時で終わります!みたいな株主総会の方が好まれたりするのでは?と脳内で思ったりしました。
時間で有給をとれる人もいたりするようなので、時間が読めれば格段に多様な方々に来てもらえそうですけど、あまり需要はないのかな・・・?
私は今回比較的時間に余裕があったので参加できましたけれど、いちいちすべての質問に答えて2時間超って「さすがにそんなに暇じゃない・・・」と気持ちが出なかったわけではないレベルです。
事前に質問を受け付けておいてまとめておくとかすれば、(企業側には手間かもしれないけれど)時間短縮は可能な部分ありそうですが・・・それより毎年同じような質問をお受けする方が楽ですかね(笑)
いずれにせよ、株主総会久しぶりに行きたい欲が少し解消しましたし、ありがたいことにお土産までいただいてきました。
鶴屋吉信のつばらつばらです。(密かに名称も奥ゆかしく好きなお菓子です。)
もっちり生地で結構好きなお菓子であります、甘味活動に貢献していただいて嬉しい限りです。
株式などの取引する身の上ですので、今後もJPXさんにはお世話になることと思います。
引き続き企業さんとして頑張っていただきたいところです。