ウクライナ情勢や東日本での大地震の再来といった世界が揺れ動いている中、恒常的なものはないのだなぁと思い知らされています、Sayasayanです。
世界が大きく変わっていく昨今ですが、実は2022年4月4日より、東証の市場区分が現行制度から大きく変わります。
今の制度は1961年に東証一部というのができて以来、なんと60年以上も変更がなかったもの。
金融市場においては大きな変革期にあり、個人投資家にとっても人ごとではない事態といえるでしょう。
経済誌などでは、ネガティブな反応も多く、不安に思っている人もいるのではないでしょうか?
直接生活がおびやかされるわけではないにしろ、市場区分が変更となれば、機関投資家などの動きも変わってきます。
第一に、企業がどこの市場に属するかで株価の変動や今後の上場傾向にも影響が出ることが予想されます。
個人投資家だからといって、無視はできない状態です。
今回はそんな東証の市場区分改定についてまとめてみました。
みなさんの参考になれば幸いです。
そもそも東証の市場区分改定とは?
これまでの4市場から3市場に編成が変わります
これまで、東京証券取引所では市場一部(東証1部)・市場二部(東証2部)・東証マザーズと、JASDAQ(スタンダード・グロース)の4市場構成となっていました。
おおまかにいえば、市場一部が大企業、市場二部が中堅企業、東証マザーズが新興企業で、JASDAQが中小企業といった区分でした。
現在、上場企業は3,777社(2022年1月段階)で、これらがいずれかの市場に上場している形をとっていたのですが、コンセプトが曖昧でわかりにくくなっている点や企業価値向上の動機付けとしても、市場一部への上場のハードルが低いといった要因があったようです。
そこで、より分かりやすく企業に飛躍してもらえるように、市場構造の見直しが図られて、今回のような3市場編成へ移行することになった背景があります。
新たな3市場は以下の、プライム市場(グローバル企業)・スタンダード市場(国内企業)・グロース市場(成長企業)になっています。
東証マザーズやJASDAQの違いとかが判別しづらかったところがまとまったという感じでしょうか。
再編に伴い、経過措置がとられながら新たな上場基準及び上場維持基準(現行、同一条件で審査される)に基づいて企業が分類されるということになります。
以下のような記事にも詳しく説明されている通りです。
東証の再編(市場区分の見直し)について徹底的に解説。東証一部の企業はどうなるのか、見直しのスケジュール、TOPIXの算出…
市場一部への上場基準が甘いのでは!?という声もあったそうで、最上位にあたるプライム市場の基準が、「新規流動株式時価総額100億円以上」というのが、一つの目玉でもあるようです。
これまでの基準や海外の上場基準と照らし合わせても厳しいものだそうですが、現在市場一部に存在する企業の約8割がプライム市場に移行するとのこと。
その点では、これから上場する企業や今回の上場維持基準に該当しなかった企業の動向などの方が今後注目されそうな気がします。
プライム・スタンダード・グロースで役割分担
横並び市場で移動には審査が必要に
3市場はそれぞれのイメージカラーに連動した特徴を持っています。
プライム市場
グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場。
主に現在の市場一部(一部を除く)の企業が該当。(1,841社スタート)
スタンダード市場
公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場。
主にプライム市場に入らなかった元市場一部及び市場二部の企業が該当。(1,477社スタート)
グロース市場
高い成長可能性を有する企業向けの市場。
現在の東証マザーズやジャスダック企業該当。(459社スタート)
こうしてみると、市場一部を目指していくこれまでの縦割りから、それぞれの企業の特徴に合わせた横並びの市場編成といった側面が伺えます。
すでに4月4日スタートということで、3市場への上場企業の割り振りは決まっており、企業さんとのヒアリングの後、決定されてJPXウェブサイトで公表されています。
上場維持基準を満たさなければ降格といった形もあるでしょうが、企業戦略としてグローバル→プライム、内需中心→スタンダード、新興企業→グロースといった雰囲気ですね。
また、3年に1度見直されているコーポレートガバナンスコード(理想的な企業に遵守してもらいたい規範)を満たしているかどうかもプライム市場やスタンダード市場では重視されていくようです。
当然上位にあたるプライム市場での遵守は厳しい基準が適応されることが想定されます。
そういった意味では、各企業の戦略としてどの市場を選択するかというのは、より重要になってくるのでは?といえますね。
市場の再編成の影響は未知数
企業側も投資家側も変化を受け入れていくことに
ということで、東証の市場区分改定により、少なからず企業活動などに変化が起こることは間違いありません。
東証さんとしては、健全な市場構造を構築するための一環として取り組まれているのですが、まだその影響は不明瞭なところも多いですね。
ただ予期されている影響などはいくつか存在しています。
特に、個人投資家にも影響が大きそうなのはやはりTOPIXを構成する企業の変更と株主優待の今後でしょうか。
2022年4月に予定する東京証券取引所の市場区分見直し。どのような狙いがあり、投資家にとって、どのような影響が出る可能性…
TOPIX(トピックス)とは、東証一部に上場する企業の株価によって算出される株価指数のこと。
インデックス投資なども流行っているのでTOPIX連動の投資信託に影響が出るのでは?という話ですね。
実際に、今までは市場一部上場企業すべてで構成されていましたが、今後はプライム市場からさらに厳選されてTOPIX指数が構成されるようです。
グローバルに活躍する企業が中心となって構成されるわけですから、TOPIXの性格は大きく変わりそうですね。
また、プライム市場の上場基準の株主数が現行の2,000人から800人以上と減少したことを受けて、株主優待の実施率が下がるのでは?という声も出ています。
確かにそういった側面もあるかもしれませんが、株主還元というのも企業に課せられている課題の一つです。
仮に優待がなくなったとしても例えば配当金での支払いや自社株買いなどの対応するといったことも大いにありえます。
いずれにせよ、変革であることには変わりなく、それに応じて柔軟に個人投資家としても対応したいところですね。
ちなみに、市場区分の改定に合わせてJPXの特設サイトが設置されています。
マンガや動画での解説に加え、47都道府県の上場企業さんのインタビューなど興味深いコンテンツがあります。
改めて日本の企業さんのことを知るのにも良い内容となっていますので、ご興味ある方はぜひのぞいてみてくださいね。