さて、中学で学ぶ経済シリーズも第10弾となりました。
市場経済では価格(市場価格)が上下することで、需要が高いものが生産されたり、あまり必要とされていないものは少なめに生産されるといったことが起こり得ます。
需要と供給の関係性については以下に説明した通りです。
中学で学ぶ経済シリーズもいよいよ第9弾となりました。 市場経済の仕組みは、誰もが通る道であり、中学生も話を聞いて、必ず需要曲線と供給曲線についてテストに出るので記憶に残る人も多いようです。 でも、グラフを暗記すればいいというわけ[…]
基本的には価格の上下によって労働・土地・資金などの生産資源の流れが調整されて商品の生産は適量の調整が起こることになります。
まぁ、理論的なことではありますが、市場経済では価格の変動によって生産資源が無駄なく効率よく利用されることになるわけですね。
とはいえ、労働市場などの流れとしても、人手不足と言われつつ必要とされる人材が育成されているかといったらうまくいっていない部分もあるので、多少のいびつさをもって市場経済は動いているともいえます。
だからこそ、すべてのものが理論通りに値段がついているわけではなく、金銭的価値でもってすべてを測るのはとても危険ですね。
また、金銭的価値はどうしてもその時点での価値変換になりがちなので、今後評価されるべきものとかに適正価格がつくか?というのも考えるべきところですね。
こんなお話は今回の話から少しはずれますが、価格は常に適正から外れがちというのは大事なポイントです。
生産の集中と独占
独占価格のあれこれ
そもそも、農産物や魚介類といったモノの価格は需要量と供給量の関係がすぐに変化します。
(生鮮食品ですし、人々は今すぐに食べるものという消費財であるからですね。)
これに対し、工業製品になると貯蔵ができるので、需要量と供給量を反映しにくい傾向があります。
価格が商品の需要量と供給量を反映しなくなると必要な生産が行われなくなったり、余計なところに生産資源が使われたりと非効率な経済が回ることになります。
また、価格の働きがうまく機能しなくなる原因の一つが独占や寡占といった状況が挙げられます。
独占・・・「1つの企業」が生産や販売市場を支配している状態。
寡占・・・「少数の企業」が生産や販売市場を支配している状態。
最近では、スマホのOSシェアとかでしょうか。
独占や寡占が起こると、主に起こりやすくなるのが「価格上昇」と「品質の低下」。
残念ながら、資本主義の中からは多くの人のためによりよくという発想はあまりないので、価格のつり上げなどは起こりがちになります。(勝者と敗者、強者と弱者と言い方は色々ですが、そういう意味では人類の進歩はあまりないんですよね・・・。)
品質の低下は、消費者の目があるから下がりづらいとはいえ、一度値付けされるとその印象も強くなるので、適正な価格というのは実に難しいものなのですよね。
ひとまず、独占や寡占状態は消費者の不利益につながるので、独占禁止法の制定や公正取引員会などによって監視されているというのが現状ですね。
公共料金の種類
国や地方公共団体が関与
そもそも、価格が大きく変動すると人々の生活が危ぶまれるので、国や地方自治体によって価格が決定したり認可されているものがあります。
主なものは以下のようなものですね。(以下の表は中学生の教科書に出ていますから、お父さんお母さん、教えてあげてくださいね〜。)
国が決定するもの | 社会保険診療報酬・介護報酬etc. | |||||||
国が認可や上限認可するもの | 電気料金・都市ガス料金・鉄道運賃・乗合バス運賃・高速自動車国道料金・タクシー運賃etc. | |||||||
国に届け出るもの | 固定電話の通話料金・国内航空運賃・手紙・はがきの郵便料金etc. | |||||||
地方自治体が決定するもの | 公営水道料金・公立学校授業料etc. |
電気・ガス・水道は日本の場合、安定供給のために特定の地域を一つの企業が担当する地域独占的な形になっています。
とはいえ、2016年に電気の小売が、2017年にはガスの小売が自由化され、2020年に電気の発電事業と送配電事業を分ける発送電分離が実施されますのでこうした現状は少しずつ変わっていくことが予想されますね。(それが良いのか悪いのか・・・考えなければいけないところです。)
自由競争の重要性
次々と競争が生まれてよりよい社会を
もちろん、自由競争が悪いというわけではないですよ。
競争がなければ、新しい技術革新も起きないわけですからね。
また市場の競争には、誰もが自由に参加できる状態が保たれる必要があります。
そして、競争が進めば「価格競争も促進される」わけですから、競争のメリットはもちろんあります。
まぁ、価格の安さでの競争は限度があるので、最近はデザインや品質といった価格以外の付加価値をつけて選んでもらおうとする非価格競争も進んでいるんですけどね。
雑誌の付録もその典型例といえばいいでしょうか。
こうなると、付録合戦にもなってしまいますが、これもある意味自然の摂理。
ゼクシィは、雑誌本体より付録目的の購入も多いようですが、これも経済循環の一環ですね。
(毎回いろんな付録がついているんですね・・・勉強になります。)
ある競争が突き詰められると、新たな競争が生まれるわけでもあり、付録つき雑誌の次にも新たな競争が生まれるのかな?と。
いずれにせよ、価格は変動するものですし、常々適正なものがあるかどうかは注意深く考える必要がありますね。