キリンホールディングス株式会社(2503)第184回定時株主総会参加レポート

2023年3月30日(木)に開催された、キリンホールディングス株式会社第184回定時株主総会のリアルタイム配信を視聴しました。

過去の株主総会参加レポートについてはこちら。

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さて、2019年春休みという時間を使って株主総会に行ってみよう!第二弾。 今回は、キリンホールディングス株式会社さんの株主総会に行ってまいりました。 要項は以下の通りです。 開催日時:2019年3月28日(木)午前10時(受付[…]

今年は通常開催同様の形となり、リアルタイムでの配信もありで株主としては参加しやすい形になったな、と感じました。

パソコン上でスムーズに視聴できましたので、配信でも内容を知るには十分でした。

議案の採決など進行は基本的に磯崎社長が務めていらっしゃり、事業内容も改めて確認できてとても有意義でした。

視聴した内容についてまとめてみたので、みなさまのご参考になれば幸いです。

キリングループの現況および事業報告について

基本的に国内飲料以外は好調に推移

基本的に、キリングループが抱える事業は以下の3つの領域になります。

食領域
主力ブランドに注力。強固のブランド構築を強化

  • 主力の一番搾りのリニューアル、健康志向の一番搾りの糖質ゼロも好調。
  • クラフトビールのスプリングバレーも販路拡大、氷結無糖が当初目標の約1.2倍の売上。
  • 国内飲料は不調だが、午後の紅茶無糖シリーズなどが売上を牽引。
  • 北米市場ではXXXX(フォーエックス)などの売上が好調。

医療域

日本初のグローバル・スペシャリティファーマとして次世代戦略品の開発を推進

  • 次世代戦略品として「HK4083」や「KHK7791」といった医薬品の開発が着実に進捗。

ヘルスケア領域

プラズマ乳酸菌の展開を加速。事業領域の拡大に取り組む

  • シチコリンの米国販売開始。
  • HMO(ヒトミルクオリゴ糖)のタイ工場の稼働。
  • ファンケルとの共同開発のカロリミットブランドの展開。

 

世界的な健康志向を受けて、事業展開の重点をヘルスケアなどにも広げつつ強化している感じですね。

全体的に堅調な推移となっており、コロナ禍を抜けて売上が期待されるところといった印象でした。

苦境の国内飲料やミャンマー市場撤退について

よくない部分は改善していく方向性

質疑応答が十分に行われていたのですが、気になる点として以下の2点を詳しくまとめておきたいと思います。

  1. 国内飲料の苦戦(減収減益)
  2. ミャンマー市場からの撤退

まず、国内ビールなどが増収増益の一方で、国内飲料は減収減益と厳しい状況に置かれているとのこと。

これは各社が抱える原材料や燃料費の高騰だけではない要因が2点あるとのことでした。

  • 自動販売機の売れ行きや台数の見直し
  • 家庭用ペットボトル(2ℓ)の価格競争

まずは、外出規制などもあったことから、自動販売機での売上が低迷したということ。
その上で、売れない自動販売機には台数調整などをした結果が響いているとのことでした。

目下、外出機会の増加や外国人観光客数が復調傾向になるので、ここは売上としては今後伸びてきてほしいところだそうです。

それと、家庭用ペットボトルは、各社価格競争が激しく、売れば売るほど赤字のような状況とのことでした。(結構目からウロコ情報でした、確かに安いところだと、自販機で売られているドリンク1本分のお値段で買えちゃったりしますものね。)

キリンも値上げをしてきてはいるものの、まだ価格転嫁しきれてはおらず、市場ニーズともズレてしまうので舵取りは難しいとのことでした。

売るほどに赤字なので、最近は売上個数の数値目標を見直すといった方向に向かっているそうです。

.それとキリンのミャンマー事業ですが、やはりクーデターの後、キリンの事業を残したいとあらゆる道を模索したが、ジョイントベンチャーとのパートナー解消に至ったとのこと。

2023年1月23日にミャンマー・ブルワリー社と株式譲渡契約を締結し、譲渡が完了したので、事実上ミャンマー事業の撤退が完了したという形になりました。

個人的には軍事政権との関わりなどはないクリーンな状態をきちんと示せたわけですし、ビジネスで新規開拓・投資をして、失敗することはありうることなので、今後もこうした挑戦をしっかりしていってほしいなぁと思って聞いていました。

ただ、やはり完全撤退にあたってはミャンマー市場で利益が出ていたとはいえ、最終的に200億円以上の損失とのことなので、ちょっと大きい損害ではありますかね。

アジアのラストフロンティアと呼ばれたミャンマーで、それなりの収益が出ていたとのことなので、その知見を活かして、次の新規開拓・投資を進めていっていただければなぁと思うばかりです。

株主からの質問と回答

2年ぶりの通常開催でいろんな質問が出ました

ざっくりとですが、質疑応答で出た内容についてまとめておきます。

2年ぶりの通常開催ということもあり、多くの質問が出ていました。

バーチャルオンリー株主総会はどのような時にやるのか?
コロナ禍のような事態を考慮してできるように定款を変える。現時点では具体的に考えていないが、必要性があれば状況をよく考慮して開催したいと考えている。
人材の合理化をどのように考えるのか?(時代についていけない人材などが多いのでは?)
人材を重視しており、人的資本経営を推進していく。単純に合理化を行うわけではない。人材の成長とともに企業の成長があると考えている。
スリランカの情勢をどのように考えているのか?
デフォルトが起きているスリランカの情勢は理解している。午後の紅茶の茶葉はスリランカから輸入しており、(日本に入ってくる茶葉の1/4をキリンが使用している)茶農園の確保などをしっかりしたいと思っている。国の情勢と商用の茶の流通はまた別物だが、影響があることは間違いないので、茶葉の安定確保に注力したいと考えている。
WBCの期間中かつてキリンがCMでイチローさんを起用していたのに、今回はアサヒがCM起用していた。ライバル会社の売上に貢献してそうだけれど、どうしてキリンは俳優さんを変えたのか?
CMのタレント起用は自社のターゲット層に沿った人を選んでいる。また出演する俳優さんなどの意向双方がマッチした場合に成り立つ。CMを打ったとしても認知には時間がかかるものなので、その点はご理解いただきたい。
太陽光パネルの活用について、ウイグルの人権などの問題があがっているが、キリンは大丈夫なのか。
キリンの利用方法は、工場の屋根を発電業者(三菱の子会社)に貸して、発電で得られた電力を購入する形である。人権上の問題もきちんと精査された上で活用している。
今日リモート参加のロッド・エリントンさんはどのような方か?
オーストラリアのLION社(キリンが買収)の会長をしていた方で、現在オーストラリアにいる、社外取締役として今後キリンの経営に参画してもらう存在である。
招集通知に記載の社外取締役には担当業務が記載されていないがどういうことか?
社外の取締役には特定の担当があるわけではない。広く全体的に監督してもらう立場にある。過半数以上が社外取締役なので、厳しい目でキリンの今後の経営に意見をしてもらいたいと思っている。
招集通知に記載の監査役には年齢がついていて、取締役などにはついていないのはどういうことか?
表記ゆれのようなものがあるようだが、一覧表には役員全員の年齢などが記載されているので、確認していただきたい。
コロナ禍の事前抽選の株主総会では、期日が短く株主軽視に感じたが、どのように考えているのか?(消費者としてしか見ていないのでは?)
株主様の体調などを第一に考えた結果のことである。もちろん、愛用してくださる消費者として大事な存在と思っているが、株主として軽視しているわけではない、。これから通常に戻っていくので、株主総会も株主が集い、意見交換する場所として機能するようにと考えている。
東京のイーストエリアの店にキリンの一番搾りなどが置いていないのでは?殿様商売をしているのではないのか?
かつてそのように言われたこともあるかもしれないが、お得意様との関係を重視しながら一軒一軒しっかり営業して広めているところである。最近はタップサーバーを売り込んだりといった工夫もしている。
家飲みに力を入れるのは良いが、店舗だけで飲めるビールも力を入れてほしい。
最近はクラフトビールを成長分野と位置付けているので、個人用・業務用バリエーションが出るよう考えていきたい。
アトピー皮膚炎の薬であるKHK4683についてより詳しく教えてほしい。
まだ臨床の最終段階なので、商品化できるかどうか?という段階だが、現状とても良い結果が出ているので、ぜひとも商品化したいと考えている。注射型で例えば月に1回程度の接種などで効果が期待できそうな状況にある。
質問の内容は多岐にわたっていましたが、一つ一つ担当の執行役員さんの方から回答がありました。
とても勉強になりましたし、基盤となっているビール事業や医薬品部門の推進が期待されることを実感できる株主総会でした。
引き続き頑張っていただきたいなと感じました。
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