さて、2019年5月28日に開催された「人生100年時代に必要なリテラシーと金融業界の役割」シンポジウム。
2時間半の中で、現代社会や金融業界の状況など、さまざまなことが垣間見られて、とても勉強になりました。
落合陽一氏の基調講演など、前半部分は以下の前編をご笑覧ください。
さて、なんだか今年はいままでにないほど、お誘いされたり、お誘いしたり。 かつて、1日中人と喋らず1週間くらい過ごしていた人間とは思えないほどの生活を日々送っています。 これも、非正規雇用の時間の余裕があればこそですかね(笑) […]
さて、いよいよ後半戦は各業界団体の状況や目指すべき先についてのパネルディスカッション。
登壇者は以下の通りです。
パネリスト
髙島 誠氏(全国銀行協会 会長)
池谷 幹男氏(信託協会 会長)
鈴木 茂晴氏(日本証券業協会 会長)
中川 忍氏(金融広報中央委員会 事務局長)
稲垣 精二(生命保険協会 会長)
モデレーター
魚住 りえ氏(フリーアナウンサー)
いわゆる金融畑を歩いてきたエリートな方々揃いでした。
現場の状況などへの理解はマチマチ…?といったところもありましたが、業界から見えている世界が知られて大変興味深かったです。
パネルディスカッションで金融業界を知る
トップのリテラシー度が問われる?
まずは現状のお話と、どういった方向性に向かっているのかというところから。
中川: 金融リテラシーと呼ばれるものは、商品管理ばかりではなく、家計管理や生活設計が複合的に必要。何よりそれに対して外部の知見が重要と考えている。
日本は金融リテラシーが国際比較から低いし、地域間での差も大きい。ただし、セミナーなどに参加したことがある人は解答率が高い傾向に。
鈴木: 自らの資産形成を行うのは大事。貯蓄から資産形成へと言っても上手くいっていない。デフレ下ではキャッシュ イズ キングで投資での成功体験がないため、これからはつみたてNISAやiDeCoを活用してもらい、成功体験を生み出すことが必要と考えている。
高島: マネープランが多様化してきている。資産形成期のグラフを引き上げるために、SMBCなどではスマホアプリで家計簿管理できるように。
三井住友銀行のスマートフォンアプリ。スマートフォンアプリ「三井住友銀行アプリ」についてくわしくご案内します。…
ここから家族の見守りなどの顧客の健康や介護へとサービスを展開していきたい。いわゆる情報銀行への進化を考えている。
池谷: 資産形成世代の後押しとして資産寿命の引き伸ばしを測りたい。長期的には、認知症などの判断能力が低下する人々のために資産運用を任せられる存在に。
稲垣: 保障機能の提供として就業不能保険や介護保険などの守りの部分、予防機能の提供として保険×健康増進サービスなどを検討している。リスクをシェアする考え方として、自分は何歳まで生きるか分からない。不確実なリスクに対して保険をシェアできる仕組みを考えたい。
Q.金融教育のためにしていることとは?
高島: 生活設計ゲームを提供したり、どこでも出張派遣で、ローンやクレジットカードなどの情報提供をしている。自分ごととして資産形成のことを考えてもらう機会を提供している。
中川: 「知るぽると」というHPで網羅的に情報を知ることができるようになっている。矢口(知るの知という字から)ファミリーというキャラクターを使って教員にアピールもしている。企業のワークブックを提供したり、高齢者向けには詐欺の実践例を漫画で説明したりしている。
日本銀行に事務局を置き、中立・公正な立場から、家計管理、資産形成、金融教育、金融リテラシー等に関する情報をご提供中!…
池谷: 確定拠出年金についての社会人プログラムを提供している。短期的な損得でなく、長期の重要性を伝えている。
高島: 社会人や高齢者に向けて出張派遣をしている。特設サイトの設置して藤田ニコルちゃんなどを起用したり。スマートフォンアプリのスタディサプリなどアプリ開発もやっている。
池谷: 高齢者の運用として後見制度サービスのようなことを考えている。
Q. 無関心層へのアプローチ方法は?
稲垣: 動画コンテンツを公開。イギリスではお小遣いをキャッシュレスであげたりするのが話題に。貯蓄機能やご褒美機能もあるので、そういったサービスの提供を検討している。
鈴木: イメージがない人は投資はギャンブルみたいなものと考えていて、証券投資の必要性を感じていない。長期投資を理解してもらいたい。お金のセンスを実施(現在はサービス終了中)、10月4日(とうしのひ)には、東京大学で特別講義をしたりしている。
大学生向け出前講座もやっていて、127校247回、1万5000人以上に実施していて好評を博している。
稲垣: お金のリテラシーをあげる方法というより、最近は令和版の人生ゲームはフォロワーを集めるものになっていたりと自分モデルを作る形になっている。アクティブラーニングによって自分ごと化してもらう方法も。気軽に楽しくマネーを第一の目的にしない方法もあるのかもしれない。
Q.今後の展望については?
高島: 業界内で共通の問題意識があるので横断的な協力が必要なのでは。銀行では、タブレットやスクリーンを使って視覚的な情報を交えて資産形成の重要性を伝えている。気軽にふらっと来てもらいたい。銀行も大きく変わっていきたい。
池谷: マネーリテラシーは信頼できる相手に相談できるような形に。提供者側としてあらゆる顧客に対応できるようにしていきたい。
鈴木: 貯蓄や資産運用、相続などをバランスよく知ってもらう必要がある。教育機関との連携を重要ととらえている。
稲垣: いろんな人から意見をもらって改善するのが重要だと考えている。自助の日の認知と普及につといきたい。
シンポジウムとしては、こうした内容を話していて、最後に中川氏より閉会式でまとめが話されました。
ということで、熱く各業界からのアピールを聞けました。
あれこれ試してみようとか新しいサービス展開を考えているところは興味深かったです。
シンポジウム後はゆるりとディナー
業界からトップの姿勢などいろいろ話してすっきり
シンポジウムの後は、ちぇんこふさんとゆるりとうどんディナーを。
うどんは牛肉辛つけうどんをチョイスして肉食系女子に(笑)
かなりハキハキとした店員さんが運んできてくれて、すぐに食べられたのでとても良かったです。
さすが官公庁近辺、手際が良いんでしょうね。
肉つけうどん うつけ 霞ヶ関飯野ビル店 (虎ノ門/うどん)の店舗情報は食べログでチェック! 【禁煙】口コミや評価、写真な…
シンポジウムの振り返りなどいたしましたが、結論からいうと、「他者を変えようとするのではなく、まず自分たちからなのでは?」という辛口なものに…
金融系の会社でも、きちんと社員教育をして質の高い均質な情報を提供すべきなのに、知識の底上げを無駄とみる体質など、改善すべきところがあるのでは?などなど。
それに、もし本当に消費者側が知識を身につけてしまうと、銀行をはじめとした金融機関や関係各所の存在意義がかなりシビアに問われるでしょうから、現場感が薄いトップの会話は、机上の空論に聞こえるところが少し感じられて、信用の構築には困難を伴いそうなのでは?と強く思われました。
まぁ、そんなことやたわいもないお話をして、お腹も満たされ、素敵な投資女子を見られて幸せ〜なお開きとなりました。
難ありなところがあるとはいえ、金融業界のアクティブな感じは常々見習うべきところが多いです。
教育の重要性など大切なことも再三言われてましたし、あとはもう少し工夫と内部改革が必要なのかな、と。
日本人はそれなりの規模ですし、大手金融機関も大所帯なので舵取りは難しいのでしょうが、真に利用者のためになる商品提供や情報提供をお願いしたいなと感じいった次第なのでした。