2019年6月1日に、オリックス銀行で投資信託を扱うようになった1周年の記念に特別なESG投資セミナーが開催されました。
今回はきんゆう女子。さん主催の女子会で事前勉強してから参加してきました。
詳しい記事はこちら。
こんにちは、最近お出かけばかりでなぜこうなった?なSayasayanです。 まぁ、しばらくは流れにまかせてみようかなぁと思っております。 2019年6月1日開催 オリックス銀行投資信託販売1周年記念ESG投資セミナーに参加してき[…]
ESG投資とは言葉で聞いていてもなかなか実感の湧かない言葉でしたので、その内容を深く知ることができたのはとてもよかったです。
復習として、ESG=Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)のこと。
こうした財務情報では確認しづらい部分を評価して投資をしていこうとするのがESG投資。
企業は企業の社会的責任(CSR)を実施するべきという前提のもと、そうしたCSRに真剣に取り組んでいる企業をESGの観点から評価し投資するというのが、ESG投資と呼ばれるものとのこと。
これが今、世界的にみて推し進められているというお話しでした。
それを踏まえたファンドが作られ提供されているとのことで、現在の投信界隈事情の一端を知ることができたかな?という印象です。
今回は長丁場なセミナーでしたので、まずは前編のパネルディスカッションについてまとめてみました。
セミナープログラム概要
モーニングスターの朝倉智也さんなど豪華布陣
かなり集客には力を入れているとのことで、共催のモーニングスターさんにも募集が出ておりました。
Morningstar is an investment research company offering mutua…
プログラムは以下の通りです。
開催日:2019年6月1日(土)
会場 :TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター6Fホール6A
時間:13:30 ~ 17:00
定員:160名
プログラム
12:45 受付開始
13:30~13:40 御挨拶
オリックス銀行株式会社 代表取締役社長 浦田晴之
13:40~14:40
第1部 パネルディスカッション
中長期投資の標準装備? ~加速する日本のESG投資~
パネリスト
株式会社QUICK ESG研究所 リサーチヘッド 中塚一徳氏
有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部 シニアマネジャー 鶴渕広美氏
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 日本オフィス統括責任者 牧野義之氏
朝日ライフアセットマネジメント株式会社 リサーチ運用部ESG運用グループ チーフ 兼 チーフファンドマネジャー 速水禎氏
ファシリテーター
オリックス銀行株式会社 アセットマネジメント部長 森敦仁
14:50~15:20
第2部 講演 今話題のSRI(ESG)投資で資産形成
~朝日ライフSRI社会貢献ファンド(愛称:あすのはね)~
朝日ライフアセットマネジメント株式会社 投信事業部 坂田泰一氏
15:20~16:10
第3部 講演 今話題の「配当利回り!!積立投資!?」
~宗さま&まりえの“ラジオ”トークライブ~
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 オンラインマーケティング部長 宗正彰氏
フリーアナウンサー 高橋万里恵氏
16:20~17:00
特別講演 モーニングスター株式会社 代表取締役社長 朝倉智也氏
17:00閉会
モーニングスターの朝倉智也さんは、『ETFはこの7本を買いなさい』といったセンセーショナルな本をお書きになっているところから結構気になっていて、数々のイベント・セミナーに出ていらっしゃるのでお話し聞いてみたいなって思っておりました。
聴衆はかなりご年配の方が多かったですが、ちらほら若い方も・・・?オリックス銀行を利用されている方も多い印象でした。
では、いよいよ本題へ。
第一部:パネルディスカッション
前提条件知らないと分からなかったかもです
中塚: ESG投資は、2016〜2018年に資金としては5倍も投入されるようになった投資手法であるということ。
東証の時価総額が500兆円のうち、232兆円なので、かなりの規模である。しかし世界のESG投資が2500兆円で、世界の全投資が1.1兆円とするとまだまだ規模拡大の余地がある。
日本では、GPIFが日本の10%ほど市場に資金投入しているため、GPIFがPRIに署名したことから、SDG投資は盛り上がってきている。しかし署名団体の数はまだ10位とこちらも余地がある。
Q.ESG投資は機関投資家のものだが、実際に個人投資家にとって利益が出るか、心配する声もありますが?
牧野: s&pダウ・ジョーンズインデックスでは、さまざまな方面からESGの指標を取り入れている。環境重視など分かりやすいが、損失を出しているわけではない。あくまでも、財務情報と非財務情報を両方考慮している。
速水: ファンドもどの会社を選ぶかでリターンが異なる。サスティナブルを意識した運用会社を選べばアクティブな利益を得られる。
Q. E/S/Gはすべて違うものに思えるけれど、どうしてこの取り合わせなのでしょうか?
鶴淵: EとSを支えるものとしてGを大切にしているかという話。企業によって重視する比率はさまざまなので、トータルでみることが大切。
欧州は平均的にスコアが全体的に高い。
中塚: ESG投資がすべてではない。あくまで財務情報プラスESG。現在は企業も意識しているところであるし、日本ではまだ評価が低いので今後高まる可能性がある。
牧野: 世界的に相場が連動している中、ESGだけでは難しい側面もある。数字では判断できないこともあるし、ガバナンスの理解も難しいが、GPIFの影響は大きいので今後の影響は大きいだろう。
速水: 2007〜2008年の金融危機や2012年のEU危機などは利益を追求するあまりの反動。それゆえ、気候変動やプラスチックストローの廃止なども企業行動に関わり、企業をみる価値観も変わってくるだろう。
短期的な利益を追求するだけではアクティブ運用で利益を出せない。アクティブファンドの運用マネージャーも地道に経営者の経営理念や人柄を探っている。最近は利益を出す企業のトップの雰囲気も変わってきている。最近のトップは社員の話をよく聞いている気さくなタイプも多い。
Q.ESG投資にはどういう方法があるのか?ポジティブスクリー二ングやネガティブスクリーニングなどがあるけれど、かつてのエコブームのように終わらないのか?
中塚: 運用の投資原則にESGを組み込むようになっている。ESGインテグレーションは短期ではなく長期であってブームといった一過性のものではない。各運用会社は財務分析をしていて、これが大前提。すべてでなくては良いが、ESGを組み込むことでリターンを得る考え方は一般化しそう。
Q. 企業の対話などでESGが重視されていることは分かるのか?
鶴淵: 企業が有名にしたり、配当金を増やしたりするのは投資家サイドの取り組みも重要。企業の取り組みに対して、中長期でみて投資家が売るだけでない選択肢をとることで結果として投資家と企業が会話をして利益を最大にしていく。
牧野: ESGの基準は明確でないのでそのあたりは慎重に検討する必要がある。
速水: ファンドを購入することが必ずしもESG投資ではない。個人で株主総会などに行き、対話するといった方法もある。
鶴淵: 企業はまだ情報開示すべきところがある。データがあるのにデータが提示されていないなんてことも。→データはしっかり出すのが株主にとって大事なところ。企業努力も必要と感じる。
中塚: 現在、過酷な労働環境など企業が解決すべき問題は多い。それゆえ、投資家がESGに真剣に取り組む企業を選ぶ必要がある。
ESG投資への理解が必要
間接的に個人投資家の倫理感も問われる?
ということで、パネルディスカッションは全体的に、機関投資家によるESG投資に取り組むことによるファンドホルダーへの説明会といった雰囲気がありましたでしょうか(笑)
オリックス銀行&モーニングスターの共催ということもあり、おそらくオリックス銀行さん経由で投信を購入していらっしゃるような方々も多くいらっしゃる印象でした。
終始和やかなムードで進んでましたので、何も心配するようなことは起こりませんでしたが、やはり社会的認知を得るのは難しいところなのかもしれないですね。
ESG投資と呼ばれる投資手法は今後スタンダードな流れにはなると思われますが、やはり社会的課題に対して解決策を見出すという意味では、事例がJACリクルートメントというのも、表面的といった印象で真にESG投資となると、まだまだ普及は先といった感じも受けました。
とにかく、世界的潮流に逆らうことはほぼないように見受けられるので、個人投資家もそうした意識は持っておいて損はないのかな、と。
ファンドマネージャーの方々が足を使って情報収集をしていて、そうした努力も認めなければいけないところですね。
機関投資家(運用会社等)がESGを重視する傾向ということは、その受益者となる個人投資家たち(ファンド経由で投資していなくても広い意味では一般投資家も含め)もまた、間接的に倫理感を持つ必要があるといいますか・・・常々賢い投資家でありたいと思わされるパネルディスカッションでした。