個人的に銀行業界と合わせて毎年楽しみなのが商社さんの動向です。
去年も比較したことで各社の方向性がわかってとても勉強になりました。
さて、一応インデックス投資家(この表現もおこがましすぎますが)の私めですが、結構な比率で日本株式も持っています。 理由は、利益追順とか大手民間企業への憧れとかいろいろあるんですけど(笑)、資産運用をしていなければ知り得ない情報を得られ[…]
商社の期末決算のまとめはこちら。
さて、6月になると3月決算の企業さんから配当金が入ったり株主優待が届いたりと嬉しいお知らせも多いですね。 同時に年に1回決算報告書が届くので、こちらもとっても楽しみです。 2018年4月1日〜2019年3月31日までなので、情報[…]
おそらく、資産運用をしていなければ縁がなかった企業ばかりです。
グローバルに活躍している企業さんがほとんどですし、海外現地レポートなどが多いので楽しいですね。
まとめて同時期に送られてくるので、主要商社5社の中間報告書比較をまとめてみました。
(ちなみに順番はあいうえお順です。深い意味はないので順番にご覧ください。)
伊藤忠商事について
3年連続最高益更新の実力
第96期中間報告書として送付されてきた報告書には、CEOやCOOのメッセージなどが最初にのっていました。
3年連続で上半期の史上最高益を叩き出しており、商社No.1の結果とのこと。
年間目標の58%を達成しており、まずまずといったところのようですね。
配当については、85円を下限として累進配当を明示していますね。
配当額・配当性向の引き上げを目指してくれるのは個人株主にとっては嬉しいところです。(配当性向はおよそ30%を目指すとのこと。)
事業紹介としては、東京センチュリーとの協業を加速して建機メーカーの課題やニーズに対するサービスを展開していることや、SDGsへの取り組みなどが紹介されていました。
2026年度に東京本社ビルの建替、就職人気企業ランキングでも1位に輝いているなど活気あふれる感じが伊藤忠さんにはあるなぁって感じました。
住友商事について
資源分野etc.厳しい中記念配当10円予定
2019年度上半期は、減益に転じているのが住友商事さん。
通期目標は下方修正となりましたが、予想年間配当金は創立100周年の記念配当を含めて80円予想となっています。(住友商事さんも配当性向は30%をめどにと考えているようですね。)
創立100周年ということなので、トピックスとしては、1919年の住友商事発足から現在に至るまでの歩みが載っていて興味深かったです。
1950年には戦後初の増資を行って上場していること、インドのボンベイに海外駐在員を派遣するなど大きな変革があったとのこと。
次の100年に向けて、「Enriching lives and the world」という新たなコーポレートメッセージを発表したりと前向きな印象を受けました。
事業のトピックスとしては、マレーシアで展開するヘルスケア事業やミャンマーの鉄道整備etc.
特にマレーシアは、クアラルンプール支社が1959年に発足しており、60年の歴史があるそうです。
多国籍国家であるマレーシア(マレー人を主軸に華僑や印僑が暮らすイスラム国家)ですが、経済発展著しく次世代にも期待といったところでしょうか。
丸紅について
純利益堅調推移で配当金も期初予想通り
丸紅さんも純利益は減益と厳しいところですが、純利益見通しは当初予定のまま据え置いています。
セグメント的には、情報・不動産分野や食料分野は利益アップしているようです。
トピックスとしては、丸紅が出資する米国Enlitic社とコニカミノルタ(株)とAIを応用した胸部単純X線用医療用画像診断システムの共同開発を締結したことなど、デジタルヘルスケア事業への注力ですかね。
新たにコーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げ、スタートアップ事業への投資も行っていくようです。
新規投資案件として、ベトナムの段ボール原紙事業やインスタントコーヒー事業、米国の肉牛の処理加工や繊維リサイクル事業が上がっているので、ベトナムや米国への成長に期待度が分かりますね。
ちなみに、丸紅さんの報告書には、「世界の街から」シリーズとして世界のいろんな地域を紹介してくれるページがあるのですが、今回は「この世のエデン」と称賛された街シントラが紹介されていました。
8世紀の頃にはイスラム教徒ムーア人によってイベリア半島は支配されていますが、15世紀から19世紀までポルトガルの王家が住み続けたシントラ宮殿などがあるとのこと。
世界文化遺産にもなっているところで、異国情緒あふれるところのようなのでとっても行ってみたくなりました(笑)
三井物産について
株主還元策として追加で500億円の自社株買い決定
三井物産さんは、金属やエネルギーなどが堅調に推移した他、機械・インフラもおおむね計画通りの進捗とのこと。
手堅く当期利益目標の4500億円を目指していくそうで、頼もしい限りですね。(標題の通りに追加株主還元の500億円の自社株買いも嬉しいところです。)
年間配当金も80円を据え置き、今後も業績の向上を通じた配当金額の継続的増加を目指すとともに資本効率の向上を目指すというのを明記してくれています。
また、三井物産さんの報告書では今回インドネシアへの取り組みについて詳しく記載されていました。
やはり2020年代は東南アジアに注目といった感じでしょうか。
インドネシアの首都ジャカルタでの港湾や鉄道インフラ整備プロジェクトにはじまり、インドネシアの留学生への奨学金など、グローバル人材育成に力を入れている様子など興味深かったです。
米国では次世代バイオ燃料を作る事業もスタートしていて、バイオジェット燃料の事業化および量産を目指しているとのこと。
航空業界との協業で技術活用の場も確保しつつ研究開発を進めているのも興味深かったです。
また、三井物産さんの報告書では「ブッサンジンがゆく」というシリーズで社員さんのお仕事紹介などがあるのですが、今回は経理部門で活躍する女性が登場していました。
こういう社会で活躍する人のお話は勇気づけられますね。
三菱商事について
業績見通しは明るくないが明確に累進配当を提示
さて、ラストの三菱商事さんですが、こちらも減益となっています。通期業績見通しも800億円減の5200億円と下方修正しています。
しかしながら、持続的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を基本方針としているので、配当見通しは125円→132円に修正しています。
更新投資もする上、売却・回収なども積極的に実施していて、利益追求の姿勢が強いのが三菱商事さんの特徴といえますでしょうか。
事業のトピックスとしては、アフリカのサブサハラ地域に電力を届ける事業や南米の銅事業、ワールドワイドな鮭鱒事業などについて。
多角的な事業の一端を知ることができて興味深かったです。
後半部分は、個人株主懇談会の様子や三菱ゆかりの地として旧岩崎邸庭園のレポートがありました。
旧岩崎邸庭園は台東区にあり、さまざまなイベントを実施しているようなので、ちょっと訪れてみたいな〜と思いました。
洋館自体は、国の重要文化財であり、近くには三菱史料館もあるのでおさんぽも楽しそうです。
あとは、有名な隠れ優待とも言われているカレンダーは美術館の所蔵品なので、目にも麗しい仕様になっています。
個人的にはこのカレンダーが届くようになってから、他のカレンダーを買う必要はないかな〜って気分になることしばしばです。
あとは、静嘉堂文庫美術館のチケットも入っているので、一度は行ってみたいのですけれどね・・・。
こちらは二子玉川方面で少し遠いので、行きたいと思いつつずっと放置中・・・。
いずれにせよ、三菱商事さんは商社の中でこうしたプレゼントがいただけるので嬉しいところです。
5つの商社さんの報告書を一気に読みましたが、やはり各社それぞれ特徴があって興味深いですね。
グローバルに投資をしているので、株主として間接的に世界各地に分散投資しているのかなとも思います。
とにかく、情報量がたっぷりで読み応えのある報告書ばかりで楽しかったです。
こうした企業のレポート情報を知ることができるのも個別株投資の良さでしょうか。
みなさまのご参考になれば幸いです。