【書評】橘玲著『幸福の「資本」論』

海外事情にも詳しい橘玲さんはご存知の方も多いかと思います。

ダイヤモンド・ザイオンラインなどの連載コラムも大好きでよく読ませていただいていますが、やはり書籍も興味深いので、僭越ながら今回は『幸福の「資本」論』についてご紹介させていただきます。

幸福にまつわる3つの資本

資本にはいろんな資本がある

この本でなるほどな〜と思うところは、「幸せ」の定義が明確に示されているところです。

幸福といえば、

  1. 自由
  2. 自己実現
  3. 共同体=絆

が揃っている状態を指し、その幸福を支えるものとして、

  1. 金融資産
  2. 人的資本
  3. 社会資本

をあげている点ですね。

このシンプルな構造が分かりやすいので、まずはここであげた3つを突き詰めていくと良いのだな〜と前向きになれます。

金融資産はさておき、人的資本も社会資本もいずれも金融資産と関連するのですが、人的資本の方が「仕事」に当てはまり、やりがいや自己実現といったものを含むもの。

社会資本の方が「共同体」とか人脈といったものを指し、社会的評価などを含むものと説明されています。

基本的には資産を形成するために必要なつながりを指すのですが、3つの資本に分けて説明されることで、より分かりやすく自分の改善点を見つめ直すのに役立っているように見受けられます。

胸が痛いのは、高学歴な女性が風俗嬢などで学費を稼いだりするという話で、これはリアルに研究界隈ではよく耳にする(リアルな話でね)レベルでありました。

国際的な競争力をとか言われる中で、まぁ無理な話だなぁと思わせる最底辺の話がゴロゴロありましたね。

女性は男性よりも優秀じゃなければ(少なくともそう見せられる)生きていけないというのは研究界隈では割りと常識だし、よくいえば向上心とかがある女性より、純粋に研究が好きな女性の方がそうした夜の世界になびいていっていた気もします。

そんな世界とは少し距離をとったので、今はどうなっているか分かりません。ただ、女性が最貧困状態になりがちなのは、今の(男性中心)日本社会の構造自体が変わらないと難しいのではないかなぁ?などと昔のことを思い出したりも個人的にはしました。(構造変えるのはかなり難しいことですよねぇ。)

閑話休題。

書籍の内容に戻ると、3つの資本から8つの人生パターンが割り出されています

上記で紹介した

  1. 金融資産
  2. 人的資本
  3. 社会資本

のうち、すべてが存在しないと貧困状態にあたるとのこと。

このうち、3.社会資本だけでもあればプア充(ex.マイルドヤンキー)、2.と3.があればリア充(ex都心に住む高収入サラリーマン)といった表現がなされています。

こうした分かりやすい事例で書かれていると読みやすいし、自分がどういった立場に立ちたいかが明確になるのが良いところ。すべてのパターンはぜひ読んでご確認してみてください。

著者曰く、一つの資本だけが充実していても、他の資本が乏しいと貧困に陥りやすいので二つ以上持ち合わせるのが理想でしょうか。何事もバランスよく保有でのがきる一番良いですよね(笑)

そしてやはり金融資産が重要

自由度が高まることは自明

そして、やはり重要なこととして、

No Money, No Freedom(お金がなければ自由がない)というのが強いメッセージとして提示されていますね。

いろんな事例が挙げられていますが、有名なところとしては年収は800万円ほどで幸福度的には天井であることなどが説明されています。

一般的な金融資産であれば1億円など、このあたりは投資などをしている人は知っている事象かもしれませんね。

いずれにせよ、「個人」と「法人」の税金のお話とか今後の日本経済のシナリオなどは、著者ファンだと既視感もあります。でも、とても大事なことだし、そうした状況の中で自分がどのように動くか?というのが、自分の幸福度にも関わってくるのかな?と考えさせられました。

自己実現のための人的資本

やはり仕事はいろんな意味で重要

そして、人的資本に関しては、ブラック企業のお話などについても触れられています。

でも、何より重要なのは、マズローの5段階欲求についてでしょうか。

(出典:モチベーションアップの法則HP

自己実現ってとにかく欲求の中では一番上なのですよねぇ・・・。

それを「仕事」に求める風潮が大きいのが一番の問題でもあるように感じますが、まぁ生業というのですかね、そうしたものについて考えさせられました。

この章ではかなり残酷な日本社会の就業環境について論じられているので、詳しくは書籍に譲りたいのですが、プロフェッショナルが生み出されにくい環境など問題は大きいなぁと思わざるをえません。

正社員と非正規社員の圧倒的な差についても、問題ではあるけれど今やそうした「企業への忠誠心」の代金だと考えると、今やそれを得る代償も大きすぎると感じますし、深刻な状況と言わざるをえませんね。

日本特有のムラ社会思考が変わるのはいつの頃でしょうか・・・。

転職市場で35歳という年齢だけで足切りしちゃうのとかも(もちろん、少しずつ変化はありますが)思考停止に至っている社会としか言いようがないですが、現状を大きく変えるのはやはり厳しいですよね。

というわけで、本書の弱者のための生存戦略は必見です(笑)

簡単にいえば、自分の好きなことに磨きをかけ、マネタイズをしていくということなのですが、今後はこうした「個」が強くなっていくのかな〜なんてぼんやり思いましたね。

一人が好きすぎて、他人から攻撃されなければ平穏無事な私の欲求はあまり高くないですが、それゆえに日本の伽藍型社会には適合しづらいので、生存のためには参考にさせていただきたいところです。

幸福のための社会資本

日本人はうつ病になりやすい?

最後に、幸福のために社会資本は不可欠ということなのですが、主に生活のほとんどを仕事でかなり狭くて強固な人間関係というのは自由度が低いので、幸福は感じづらい模様。

そして、日本人は遺伝的にうつ病になりやすかったりするので、民族的に幸福を感じづらかったりするというのも興味深い内容でした。

とにかく、今は「強いつながり」を最小化し、「弱いつながり」を持つことでバランスをとる人たちの幸福度が高いと言われているとのこと。

別に特別なことではなくて、ツイッターやインスタなどのSNSを駆使する人が増えたり、いろんな場所に顔を出してゆるくつながったりというのは、幸福を求める姿勢として正しい姿勢なのかもですね。

日本人ってやっぱり感度が高いのかもしれませんね(笑)

人生についても考えさせられる本でした

結構身につまされる話も?

総じて分かりやすく、読みやすくていろんな人が共感できる内容になっているのではないかなと思います。

自由に生きることを実際にやってもいいんだ!って思わせてくれるところも一読に値する本かと。

個人的には高学歴女性の歩む道とか、本当にどうしようもなく身につまされる部分もあって、だからこそある程度の戦略って大事なんだなぁとか前向きに捉えられるきっかけもいっぱいありました。

自分がどうありたいのかとか、どうしていくべきなのかを考えている人におすすめしたい本です。

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